竹中 平蔵(東洋大学教授、慶應義塾大学名誉教授)×谷 敦(役立つ士業協議会理事長、JUST FOR YOU 社長)
役立つ士業協議会の谷敦理事長は、弁護士や税理士、公認会計士といった登録士業約180人の中から中小企業オーナーにマッチした専門家を紹介し、最適なコンサルティングを手掛けている。今回は経済政策に広い見識を持つ竹中平蔵氏を迎え、特別対談を実施。中小企業オーナーによる事業承継や経営者個人の資産運用のあるべき姿について語っている。中小企業の事業承継が過渡期を迎える中、竹中氏は谷氏による事業承継支援セミナーを通じた日本経済への貢献活動を絶賛、エールを贈った。
事業承継に詳しい士業を紹介して中小企業を守る
谷 今回は竹中先生にコロナ禍での変革の時代に中小企業は何をすれば良いのかアドバイスをいただきたいと思っております。日本企業の99 ・7%を占めている中小企業が衰退してしまうと、日本経済にとって大きなマイナスです。企業はどんなことに気を付けるべきでしょうか。
竹中 パンデミックでは起こりかけていた変化が一気に加速します。現在で言うと、圧倒的にデジタル化と脱炭素化の2つです。これらが牽引する第4次産業革命の波にどう乗るかがカギになりますね。ただ、飲食業がIT企業にいきなり業態転換することは不可能です。エネルギーの主役が石炭から石油に交代した際、炭鉱労働者がボイラー技士になったように、皆が少しずつ変化を受け入れて付加価値の高い仕事を目指していく。それが健全な社会変化の姿ですね。
谷 おっしゃる通り、皆がアイデアを出し合い、変革を目指していくしかないですね。ところで、私たちのお客さまには経営課題に加えて、事業承継における相続税負担に深刻な悩みをお持ちの方がとても多いです。特に優良企業は自社株が高騰し、先代が死亡してから10カ月以内に現金で多額の相続税を支払わなくてはいけません。日本における事業承継の税負担をどうお考えですか。
竹中 財政の観点から言うと、相続税制には歪みがあると感じています。所得税を払った後のお金に相続税を課される、いわゆる二重課税なんです。現金や不動産など資産内容で課税額が変わるのもおかしな点ですね。税制は経済構造に影響を与えない、ニュートラルなものでないといけませんから。
私は日本マクドナルドを創業した故・藤田田氏のシンクタンク、フジタ未来経営研究所の理事長を務めていた縁で、同氏から面白い話を聞きました。資産運用では1、2%程度の利回りの差は関係ない、一番大事なのは相続税対策であると。何もしなければ多額の納税資金が発生しますから、10年ぐらい掛けて対策を講じる必要がありますね。藤田さんのような方がおっしゃると非常に説得力があります。
谷 確かに日本の税制にはつじつまの合わない部分がありますね。自社株の贈与を済ませて税金を払い終えても、民法に則って贈与した財産が相続時に持ち戻されてしまうことがあります。
ある経営者が自社株を引き下げて長男に譲ったケースでは、会社の業績が伸びて株価が1億円から10億円になったところ、仲の悪い弟が法定相続分を請求して、兄は弟に5億円を払うことになったんです。父親が遺言をしっかり残しておくべきでしたね。中小企業の弱体化につながる恐ろしい話です。
私は皆さまに経験豊富な専門家を紹介し、未来リスクの防止につなげることで中小企業を全力で守りたいと思っています。そのため、事業承継に詳しい専門家を経営者に紹介する役立つ士業協議会を発足しました。活動を通じて、富裕層が子孫に会社や資産を残すための支援をしています。
ウェブセミナーで事業承継に重要なノウハウを公開
竹中 谷さんの活動は医療におけるセカンドオピニオンの役割と同じですね。手術を受ける時だけではなく、経営者が事業承継対策を講じる際にもセカンドオピニオンは必要不可欠だと思います。
谷 経営者は本物の事業承継のアドバイザーを見つけるのに苦労していると痛感しています。私は今まで全国を渡り歩いて素晴らしい先生方を探してきました。会社法を使った組織再編や事業承継、その後の遺留分対策を適切に行い、円滑な承継を実現できる専門家は本当に貴重です。金融機関の提案を必ずしも否定しませんが、銀行や顧問の先生の提案だけをうのみにしないでセカンドオピニオンを受けていただきたいですね。
竹中 谷さんには事業承継支援のフロントランナーとして頑張っていただきたい。最近では、経営者に気付きを与えるために、ウェブセミナーを開催していると伺いました。事業承継のさまざまな手法を経営者に分かりやすく公開するというアイデアは素晴らしいので、今後もぜひ続けていってください。
谷 はい。私たちは専門家の紹介と並行しながら、生命保険代理店業を営む株式会社JUST FOR YOUでも事業承継コンサルティングを手掛けています。企業オーナーには財務コンサルを行った上で、20社の保険会社の商品の中から、その方に本当に合ったものを提案しています。まさかの時に企業を救ってくれる保険はもちろん、資産運用目的として投資効率が高いものもお勧めします。
また、竹中先生のご指摘どおり、ウェブセミナーを開催して事業承継の成功に重要な自社株の引き下げや持ち株会社化のノウハウを公開しています。事業承継や資産形成においては、良い専門家チームに巡り会えるかどうかがキーポイントです。お困りの経営者の方はセミナーを一度聞いていただければ幸いです。
セミナーに関する情報は https://www.j-f-y.com/seminar/
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