経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

錦鯉の輸出を端緒に世界の富裕層に向けた越境ECサイトを構築―三信トレーディング


中国人富裕層の間で「泳ぐ宝石」といわれる錦鯉の飼育がブームになっている。純粋に楽しむだけでなく、同好の士が集まるネットワークづくりにも生かされているという。そんな中国での錦鯉ブームの仕掛け人といえるのが三信トレーディングの范軍社長だ。

三信トレーディング社長 范 軍(はん・ぐん)


 范社長が学生時代を過ごした新潟は、錦鯉発祥の地でもある。そこでの香港の錦鯉業者との出会いをきっかけに、大学生活の傍ら錦鯉関係のビジネスに携わるようになった。卒業後、商社勤務を経て自ら幅広い商品の輸出入を手掛ける同社を設立。

 「取り扱う商品の中でもメーンは錦鯉です。15年前、香港の顧客からの紹介で中国本土に進出したものの、当初はまったく需要がありませんでした。ゼロから市場を開拓できたのは、当社が単に錦鯉を商品として販売するのではなく、植木や庭石など日本庭園を作るための素材から飼育方法まで、錦鯉を楽しむ文化やライフスタイルをトータルで提供してきたからだと思います」

 さらに、錦鯉の飼育がもたらす精神的な癒やし効果も中国人に受け入れられた要因ではないか、と范社長は分析する。ただ、最近ではブームが高じて中国やタイ、ベトナムなどでも錦鯉の養殖が活発化していることには危機感を抱いているという。

 「規模やコストの面で国内の養殖業者が対抗するのは厳しい状況ですが、錦鯉文化の発祥である日本の錦鯉業界が権威を保ち、さらなる発展を遂げられるようにサポートしていきたいと考えています」

 昨年はコロナ禍で錦鯉を空輸する航空機が飛ばず、国内の生産者と中国の買い手の双方が困窮した。そこで、范社長は中国政府や日本国内の関係省庁の協力を得て、なんと錦鯉専用となるJALのチャーター便を仕立て、20トンもの錦鯉を空輸した。

 「新型コロナに配慮して隔離施設も設けるなど手間はかかりましたが、関係者の皆さまには大変喜んでいただけました。こうしたチャーター便を利用するスキームは、錦鯉以外にも幅広く応用可能です」

 その言葉通り、范社長が次なるビジネスとして狙いを定めるのが、航空便も活用した越境ECだ。華僑といわれる中国人富裕層をターゲットに、日本酒や高級農産物など日本の文化を代表する商品を販売する。

 「間もなく『愛錦鯉(Love Koi)』という越境ECサイトをオープンします。錦鯉と同様に、精神的な癒やしをもたらす付加価値の高い商品を提案することで、日中文化交流の一助になればと考えています」

会社概要
設立 2006年11月
資本金 1,000万円
所在地 東京都新宿区
従業員数 11人(グループ連結587人)
事業内容 錦鯉輸出事業、生活雑貨・衛生防災用品輸入販売事業、中国での和食店舗、食品工場および農場の運営
https://www.sanshintrading.com/

【AD】