経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

前澤ファンドが出資した最年少起業家が創ったペンマークとは

日本版Facebookを狙うペンマーク

 大学生向け履修管理SNSのPenmark(ペンマーク)をご存じだろうか? ホリエモンこと堀江貴文氏、East Ventures、筆者等から約1年前に出資を受け、このたび前澤ファンドから大型の資金調達(金額は非公表)を実施した慶應義塾大学に通う学生起業家によるベンチャーである。(筆者の保有株は既に前澤ファンドに売却しており、執筆時の同社との株主関係はない)

 前澤ファンドとは、ZOZOTOWN創業者で、スタートトゥデイ社長の前澤友作氏が運用するファンドのことだ。ペンマークCEOの横山直明氏は、同ファンドより最年少で資金調達を行ったことから、業界で話題となっている。

 ペンマークを使うと、大学生が入学後に行う履修登録したカリキュラムの管理をアプリを通して行うことができ、大学の公式データや先輩の授業のレビューなどの口コミも見ることが可能となる。

 さらに、生徒同士でコミュニケーションを取れるSNS機能が備わっており、他の学生とやり取りをしながら時間割の作成が可能となるため、大学生活を強力にサポートするものとして期待されている。

 現在、慶大生の約60%以上が利用しており、大学生にとって重要度が非常に高いサービスの1つとなっている。

ペンマーク
大学生向けSNS「Penmark」

大学生活のDXを加速するペンマークの野望

 ペンマークは大学生活のDXを加速させる役割を担っている。履修管理の領域においては、カリキュラム作成や同じ授業に出席する生徒同士のトーク機能などが大学生活の利便性向上を後押しするからだ。

 新型コロナウイルスの影響で大学が閉鎖されたことで、学生がキャンパス内で直接他の学生とコミュニケーションを取る機会がなくなっていることも、支持されている理由だ。教室という空間を利用できなくなっている中、ペンマークが学生同士をつなぐ役割を果たしている。

 大学は授業を受け履修するということ以外にも、サークルやゼミの活動、アルバイトを含めたさまざまな体験が行われる空間である点を横山氏は指摘する。学生同士のコミュニケーションの幅を広げることで、大学生活のDXを加速させることがペンマークのミッションの1つであるとのことだ。

 また、ペンマークでは、中長期的に〝大学生協のDX〟を推進する構想を掲げている。

 大学生協は、資格の資料紹介や自動車免許合宿斡旋、就活、バイト、家探しなどのサポートで年間2千億円を売り上げる。そこで、ペンマークアプリ内の仮想キャンパスに生協の売店を設置し、ECサイトから教科書の購入、アルバイトや住居、資格の学校などを探せる空間を創り上げようというものだ。

 学内が閉鎖されている現在、仮想空間でのやり取りはますます増加している。ペンマークの存在は、今後も学生にとって必要不可欠なものとなっていくとみられる。

前澤ファンドから出資を受けてのペンマークの変化

 前澤ファンドの出資により、ペンマークの事業にはこれまでになかった新たな動きが出始めている。

 特にSNSの拡散力はすさまじく、横山氏のSNSアカウントが前澤氏によって拡散された後、フォロワーが1800人から6万5千人に増加。前澤氏と親交がある経営者や投資家と面談する機会も増え、経営面のアドバイスやノウハウ提供をはじめ、人脈も共有できるようになった。

 また、前澤ファンドの資本力によって、一気に大きなラウンドでVCなどから投資を受けられるようになったのも大きなポイントである。普通のVCであれば、ラウンドによってはリスクヘッジの観点から投資額にある程度の制限がかかってくるが、この壁が取り払われた。

 「現在、シードで約6千万円調達が完了しており、今年に入って正式にアプリのリリースを行います。本来であれば、順当に進めてアーリーステージのラウンドに当たるプレシリーズAやシリーズAで1億円程を調達するのが普通の流れとなりますが、一気に大きなラウンドでの投資が受けられるようになったことが大きいです」と横山氏は語る。

ペンマーク
前澤友作氏(右)から出資を受けた横山直明・ペンマークCEO

 突如スタートアップ界に現れた前澤ファンド。ベンチャーに対する投資額がアメリカの10分の1以下である日本の起業家にとっては、何ともありがたい存在だ。米国では年間GDPの0・2%以下の投資がGDPの21%以上の価値を産んでおり、米国全体でおよそ11%の雇用をベンチャー企業が担っている。

 「今後、ペンマークは大学生活のDXを推進し、日本版Facebookになる」と横山氏は語る。同社の発展と、大胆な出資を行う前澤ファンドを今後も見守りたい。

戸村光

戸村 光(とむら・ひかる)――1994年生まれ。大阪府出身。高校卒業後の2013年に渡米し、14年スタートアップ企業とインターンシップ希望の留学生をつなぐ「シリバレシップ」というサービスを開始し、hackjpn(ハックジャパン)を起業。その後、未上場企業の資金調達、M&A、投資家の評価といった情報を会員向けに提供する「datavase.io」をリリース。一般向けには公開されていない企業や投資家に関する豊富なデータを保有し、独自の分析に活用している。