ユキリエは「女性活躍先進企業」として、事務職を中心としたアウトソーシング事業を手掛けている。同社社員の〝気配り力〟を通じ、顧客の目標達成までをサポート、上場企業や外資系企業からの厚い信頼を得ている。
松田豊己・ユキリエ社長プロフィール
事務のスペシャリストが中心となり活躍する会社
女性活躍推進が叫ばれている昨今、ユキリエは設立当初より女性の就業を支援し、単なる業務受託に留まらない顧客の課題に寄り添ったアウトソーシング事業を手掛けている。
同社の社員数はグループ全体で280人、管理職を含めてすべて女性だ。業務支援領域は営業企画や人事採用、マーケティングなど多岐にわたり、多くの女性が活躍の場を広げている。
顧客の生産性向上にコミットした高品質な業務支援を通じて、上場企業や外資系企業との取引を拡大している。同社を創業した松田社長はアップルやオラクル、EYといった外資系企業を経て、2011年に独立。女性がさまざまな場面で活躍する職場環境で得たノウハウそのものを社会へ還元する目的で起業を決意した。
「お客さまの依頼に柔軟に対応できる業務クオリティの高い、プロフェッショナルな集まりを目指して会社を立ち上げました。私たちは単なる事務作業ではなく、成功までのプロセスをお客さまと共有しながら仕事に取り組むというコンサルティングの要素を持ったサービスを提供しています」
松田社長自身がIT業界出身であるため、同社はシステム開発に関する事務作業やヘルプデスク業務といった専門性の高い案件にも強みを持つ。10年前のIT業界は男性エンジニアが多く、厳しい就労環境から顧客企業の中には、プロジェクトに女性が参画することを懸念する見方があった。
しかし、松田社長は「専門性と高いコミュニケーションスキルを持ち合わせた社員によるサポートで、業務全体が円滑に進むよう心掛けています。結果、『チームの雰囲気が良くなり、生産性や職場環境が改善した』とお客さまに喜ばれ、彼女たちが受け入れられるようになりました」と語る。
同社で働く女性の能力発揮に一役買っているのは、社内研修制度「ユキリエ・ユニバーシティ」だ。ビジネススキルの習得はもちろん、外資系企業の仕事観や働き方のエッセンスを凝縮したマインドセットを行った上でビジネススキルの習得を徹底、顧客に「プラスアルファ」の付加価値をもたらしている。また、プロジェクトの作業品質を高める目的で、社内にクオリティマネジメントチームを設置。専門性が高い人材の育成を継続している。これらの施策が奏功し、特に21年からは急速に業容を拡大している。
アップルで培った働き方を通じて急成長を果たす
同社は21年1月に大阪、7月に札幌、8月には仙台と福岡に支社を開設した。主要顧客には上場企業や外資系企業が多く、ニーズがアジア圏にも広がっているため、韓国や台湾への進出も計画している。現在、日系企業や現地企業とのビジネス拡大に向け準備中だ。
「海外進出では営業強化はもちろん、さまざまな業務分野への専門性やスキルを持つ多様な人材が活躍できる場を多く創っていきたいと考えております」
韓国と台湾における拠点の開設後には、さらなる展開を視野に入れる。同社はグローバル市場の深耕を見据えて20年6月と21年8月に増資を行った。松田社長が掲げる「世界基準の経営スピード」を女性社員たちはどう受け止めているのだろうか。
「仕事で重視するのはスピード感とクオリティ。例えば、本社では社内ミーティングを15分以内で終わらせるようにしています。彼女たちにとってはキャッチアップが大変な環境かもしれませんが、結果的に一人一人の〝会社を創る〟という意識が高まるなどのメリットがあります。これらの施策で培ったクリエイティブな仕事振りを多方面からご支持いただいています」と話す松田社長。
さらに同社では業務効率アップを目指した「積極的ワーク・ライフ・バランス」を実践。「常日頃から生産性を意識し業務に取り組むことで、結果として定時退社を実現している」という。社員の産休・育休復帰率は100%で、成果主義を掲げつつ働きやすさにも配慮しているのが特徴だ。
10年の業歴を通じて、女性の採用や育成、エンパワーメントに関するノウハウを蓄積してきた同社。最近では顧客から女性活躍に関わる相談を受けるケースが増えている。今後は本業と合わせて女性活躍に関連した情報を提供することで、顧客満足度を高める考えだ。
「日本における女性活躍推進は他国に比べ遅れをとる一方で、キャリアアップを目的に専門性を高め、管理職を目指している女性は数多くいます。当社では毎月、こういった女性を採用して研修を実施し、彼女たちのポテンシャルを引き出しながら、企業の課題解決に貢献してきました。当社独自のメソッドを用いてコンサルティングを行いながら、女性活躍の分野でお客さまをリードしていく存在でありたいですね」
文=鈴木健広 写真=加藤 晶
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