コンクリートを軸に、研究機関や異業種との積極的な協業により、建設・防災などさまざまな分野で最先端技術を生み出す會澤高圧コンクリート。「脱炭素第一」をミッションに掲げ、業界のトップランナーとして地球環境や社会への責任を果たしていく。
テクノロジーを「掛け算」しコンクリートを脱炭素へ
會澤高圧コンクリートの近年のトピックスには、大型ドローンや次世代水素サービスステーションなど、コンクリートとは一見関わりがなさそうな分野が見られる。しかし、社長の會澤祥弘氏は「すべての出発点にはコンクリートがある」と言い切る。
「うちには『祖業のコンクリート以外やるな』という家訓があります。そうすると、コンクリートというテーマを深くやるか、広くやるかしかありません。素材研究による深掘りと、コンクリートが関わる分野の課題を抽出する横の展開を組み合わせたら、取り組むべきことがどんどん見つかりました」
例えば、2021年9月に飛行実験に成功した大型エンジンドローンは、いずれ建設用3Dプリンターを搭載した「空飛ぶ建設機械」をつくることを目指したものだ。3Dプリンターによるコンクリート構造物作成も、建設現場への導入を着々と進める。また、光触媒を使った次世代水素サービスステーションは、引っ張りに強いプレストレストコンクリートを基礎に使うことで、風車の発電能力を増す風力発電システム構想の中から生まれている。
同社は最先端技術の研究開発を進める新生産拠点として、「福島県RDMセンター」の建設を決めた。その場所を福島県浪江町とした理由を會澤氏は「需要地に近いところに21世紀型の中核拠点を持たなければいけないと考えていたところ、浪江町が世界最大の水素ステーションの誘致を決めたことを知りました」と説明する。
拠点建設に補助金が利用できることに加え、最先端技術や情報を集めイノベーションによってコミュニティを再生しようとする浪江町の姿勢に共鳴したこともあり、町と官民協力によるイノベーション共創推進を盛り込んだ立地協定を締結した。21年11月に着工し、23年4月操業開始予定で建設を進めている。
コンクリート業界を巻き込んでネットゼロを実現する
世界の大学や研究機関、別業界の企業との協業により生み出す最新テクノロジーを「掛け算」することで、新たなソリューション開発を行うと同時に、脱炭素を推し進めているのが同社の大きな特徴だ。その目はコンクリート産業全体にも向けられ、セメント製造に石灰石焼成を伴い、世界のCO2の8%を排出しているとされる製造体制に危機感と責任感を抱いているという。
「創業100年を迎える35年までに、サプライヤーも含めてネットゼロ(企業活動全体で温室効果ガス排出を実質ゼロにすること)を実現する」と、これからの動きを會澤氏は力強く宣言した。「数年前から海外の会合などに参加すると、どんな業界であっても登壇者は皆、脱炭素を切り口に何をしていくかという話をしていました。日本との温度差は肌で感じないと気付けないもので、先に気付いた者には責任があります。供給元にも、従来の環境負荷をかけたやり方はもう使えないといって新技術の導入を促さないと、脱炭素は実現しないと思っています」
コンクリート業界の脱炭素策の一手として、同社は既にバクテリア技術を導入してひび割れなどの損傷を自動的に修復する自己治癒コンクリート技術を実用化。また、コンクリートの原料を低炭素化させる取り組みも始めた。マサチューセッツ工科大学の基礎研究から生まれたプラスチック改質技術を応用し、コンクリート内部に固定化する技術について21年5月に米Miconテクノロジー社と共同開発契約を締結。これにより、廃プラスチックの大量リサイクルと、コンクリートの低炭素化を同時に進めていく。
「世界を見渡せば、これから伸びていくのは脱炭素に責任を持って取り組む企業であることは間違いありません。投資も、そのような企業にしていくべきという流れに既になっています。私たちがネットゼロに取り組むのは自社の生存のためでもあり、一定規模の企業や業界で存在感のある企業がネットゼロを決断して行くことで、業界に脱炭素のうねりをつくっていければと考えています」
會澤高圧コンクリートは、脱炭素の牽引役を目指し、今後もイノベーションへの挑戦を続けて行く。
会社概要 創立 1935年4月 資本金 6,390万円 売上高 203億円(単体) 所在地 北海道苫小牧市 従業員数 618人 事業内容 コンクリート製品の開発・製造・販売 https://www.aizawa-group.co.jp |
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