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大型車の鈑金・塗装の雄がトラックボディー印刷を開始―イーエム九州

イーエム九州社長平井清二
イーエム九州社長 平井清二(ひらい・せいじ)

 大型車に特化した鈑金・塗装のイーエム九州。2022年4月からトラックボディーのオートプリント事業に、他社に先駆けて乗り出す。高い技術力を背景に新たな市場を切り開いていく。

設備・技術で九州最高位、競合も減り高まる存在感

 「大型車の鈑金・塗装では当社は九州トップクラスです」と語るのはイーエム九州の平井清二社長だ。イーエムとはExcellent Machinery(優れた設備と組織を有するの意)で、同社は鈑金・塗装で九州において他にない設備と技術力を持っている。

 旧日本軍の特殊車両を整備する複数の工場が一つになった組織が前身で、1950年に福岡県久留米市で創業。以来、トラックやバス、トレーラーなど大型車両の事故修理、新車架装、メンテナンスのための鈑金・塗装を手掛けてきた。同じものが他にない事故車両の修理を長年こなしてきたことは、同社の技術力の高さを裏付けるものだ。

 2021年1月には、現在の住所に本社ならびに福岡支店・工場を新設・移転、久留米市の久留米支店・工場と併せて、より強固なサービス体制を確立した。福岡工場は整備ピットが12レーン、塗装ピットが3レーン、久留米工場は整備ピット9レーン、塗装ピット3レーンで、鈑金・塗装工場としてはいずれも九州最大級。加えて、両工場ともにそれぞれピット型とフロア型の大型フレーム修正機を揃える。

 どちらの型も持っているのは九州で同社だけだ。これらを背景に山口、宮崎、鹿児島からもオーダーが舞い込む。事故修理、新車架装、メンテナンスを合わせると年間で3千台を引き受ける。最近は競合他社も減っているといい、同社の優位性が高まっている。

大型のオートプリンターでデザイン塗装費が大幅減

 同社では22年4月から、専用プリンターを使って大型トラックのボディー側面を自動でプリントする新規事業に乗り出す。

 従来、大型トラックのボディー部分の側面をデザイン塗装するには、あらかじめ印刷されたフィルムをボディーに貼る「ラッピング」が一般的だった。一方、同社が手掛ける自動プリントは、大型専用プリンターでボディーに直接印刷する。フィルム代や貼り付けの人件費がかからないため、ラッピングに比べてコストが5~6割程度で済むという。注文から納品までの時間を短縮でき、フィルム等の廃棄物削減で環境にも優しい。

 九州で専用プリンターを使って直接印刷する業者は数社。しかもいずれも自社車両向けといい、外部向けに本格的に事業展開をするのはイーエム九州が初となる。22年初頭に新部門「ボディープリント部」を久留米支店内に立ち上げ、専業スタッフ2人を新規採用する予定だ。プリンターは久留米工場内に新設する専用テント内に置き、印刷はそこで行う。初期投資と事業開始直後のランニングコストを含めて、約7千万円をかける。

 平井社長によれば、日々運行している大型トラックのうち、7割以上がボディーに何もデザインを施していないか、または社名やロゴを小さく描く程度で、側面全体または大部分をデザインしているのは3割未満だという。

 「既にデザインを施している車両の大半はラッピングによるもの。それらにはコストが安く済む当社のボディープリントへの切り替えを、何も施していないトラックには自社PRや荷主への付帯サービスとして役立ててはどうか、と提案していく」

 デザインは社名ロゴのほか、荷主の商品名、特産品といったご当地PRなどにも応じる。「自社のアピールに加え、今後は環境への取り組みなどを一般の人々に訴えていく必要性が多く出てくるはず。それらのニーズも取り込みたい」と平井社長。

 同社は塗装専門人材を多く抱えているため、デザインの要望によっては「彼らの高い技術によるオプション対応も強みだ」とする。まずは北部九州の地場運送会社をターゲットに、3年以内に部門売上高1億円を目指す。また達成と同時に、福岡工場内にもプリンターとスタッフを追加で配置する計画だ。平井社長は「福岡から、ボディーへの直接プリントを九州全域に広めたい。他社の追随があっても、当社には塗装専門職がいる強みがある。九州の市場を切り開いていく」と意気込む。

 このほか新規事業として、トラックを含めたEV商用車の車両販売・部品供給分野へも進出を模索しており、ベンチャー企業との連携も計画する。某大学と後付け自動運転システムについても研究中だ。
 「当社にしかできない仕事を残したい」と平井社長。祖業の鈑金・塗装にとどまらず、新規事業においてもプレゼンスを増していく。

会社概要
設立 1950年8月
資本金 3,000万円
売上高 11億円(2020年度)
所在地 福岡県糟屋郡須恵町
従業員数 52人
事業内容 自動車整備事業に関する一切の作業ほか
https://emk.co.jp/

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