未来の企業組織を見据えプロ人材と企業を結ぶーPiece to Peace

Piece to Peaceは、ビジネス界におけるプロ契約のマッチングサービス「CARRY ME（キャリーミー）」を提供する。働く側と企業側のニーズを捉え、利用者数を増やしている

業務委託で働くという新しい価値観が拡大

「キャリーミー」は２０１６年から提供している、プロ人材（業務委託に特化した人材）で法人の課題を解決するサービスだ。大澤亮代表がこの事業を思い付いたきっかけは、30代の働く価値観の変化に気付いたことにある。

09年の会社設立から６年後の15年当時、知識やスキルを伝えたい人と学びたい人をつなげるマッチング事業を主に手掛けていた。そこではビジネスや料理などさまざまな分野を設けており、その中で特に活況を呈していたのが「働き方」だった。

「優秀な人材の流れが変わった」と感じた。優秀な人材の一部が企業や個人事業主など独立して、スキルをベースに働く時代に突入することを感じた。

例えば、正社員として週５日フルタイムで働くのではなく、子育てをしながら働きたい、あるいは２社、３社で同時に働きたいという人が急増していたのだ。大澤代表は次のように語る。

「週５日働く人が出す成果を、週２日でも出せるような自信を持つプロ人材が増えていました。働き方の価値観が実態として変わってきていることを感じたのが15年でした」

企業側は優秀な人材が確保しにくいという課題を抱える。正社員でなくても、週２日で成果を出せるプロ人材を業務委託契約で月額20万～40万円といった報酬で働く機会を提供すれば課題を解決できる。

プロ人材と企業を結び付けるサービスができれば両者のニーズに応えられる。そんな思いから事業を開始した。

自社でもプロ人材を積極採用18年年商が前年の７倍に

事業開始に当たっては業務委託人材を活用した。ウェブマーケティング担当のプロ人材は子育てをしながら働くという希望を叶えるとともに、ＳＥＯ対策に力を発揮しプロ人材の登録者を一気に増やした。

17年から18年にかけては、 業務委託のプロ10人と正社員１人のみで売り上げ７倍を達成した。

１社でプロ人材を複数活用する事例が相次いだからだ。そのうちの１社は１・５年で20人ものプロを採用し上場も果たした。同社の取締役は、「正社員だと採用できないレベルの人が、『キャリーミー』のプロ人材だとほぼ確実に採れることが価値ですね」ともコメントしている。

大澤代表は「キャリーミー」の事業性を確信した。

「プロ人材は専門スキルを持つだけでなく、何としても成果を出すという気概があります。後から入社した若手社員の育成、ノウハウの内製化にも貢献し、当社の事業推進に大きな役割を果たしました」

登録者には、売り上げに貢献する職種、つまり、マーケティング、事業開発、営業、広報・ＰＲの４職種が多い。

一方で企業側には、新規事業の推進に当たり、その分野に知見のある人材を欲している大企業や、知名度の点から人材難にあるスタートアップを含めた中小企業が多い。プロ人材の累計登録者数は１万３千人、求人を出す企業は２３００社に上る。

同社はプロ人材としての求人を出す企業にその条件に合ったプロ人材を紹介するサービスを手掛けているが、課題も多い。

プロ人材と正社員からなる企業組織への転換を促す

「どうしても正社員を採用しなければならないという、企業側のメンタルブロックを外し、成果を出すための手法としてのプロ活用も含めてマインドを変えてもらいたいと思っています」

大澤代表は企業の意識改革も促していきたいという。

例えば、企業の１年後の理想像と現状、そして現在の組織体制を踏まえ、理想像から逆算して必要な業務を導き出す。

その業務をさらに切り分け、業務委託に任せるもの、派遣社員に任せるもの、外注に出すものに分けるなど、企業に具体的な施策を提案するのである。

また、企業が気軽に参加できるコミュニティも立ち上げる。マーケティングのプロ人材を講師に招いた勉強会を開き、参加者同士の情報交換もできるようにする。これもメンタルブロックを外すきっかけになると期待している。

同社のビジョンは、学歴・年功ではなく、個人の能力と努力によって自分の人生を切り開く世界を創ることだ。そしてミッションとして、大手に偏る優秀な人材を再配置することによる日本経済の新しい成長モデルの共創を掲げる。

これを実現するためにサービス強化にも取り組む。

さらに、将来的には企業の組織上の課題解決も支援していく考えだ。同社はプロ人材30人、正社員11人というハイブリッド型組織だ。まさしく企業組織の未来像と言える。そうした組織で発生するマネジメント上の課題の解決策を提供するのである。未来の組織を先取りする同社ならではのサービスだ。