Idein(イデイン)は、エッジAIのスタートアップだ。エッジAIプラットフォームサービス「Actcast(アクトキャスト)」を主力に事業を展開する。国内ではエッジAIインフラで最大級の規模。将来は海外進出も見据え、メガプラットフォーマーを目指している。
東大大学院の博士課程に進学するが、一刻も早く自分の技術を世に出して社会貢献したいとの想いから中退し、2015年に起業した中村晃一代表は創業当時についてこう話す。
「当時、画像解析や音声解析などAI技術が進歩し、実世界のさまざまな情報にソフトウェアがアクセスできるようになったことで、革新的な製品やサービスの創出が予見できました。しかし、それを誰もが手軽に使えるインフラがないことに気付き、そのプラットフォームをつくろうと考えたのです」
ソフトウェアは振動や温度、加速度だけを測るセンサーと違い、アップデートで機能や精度を高められる利点がある。同社のミッションは「実世界のあらゆる情報をソフトウェアで扱えるようにする」。それを具現化したのがエッジAIプラットフォームサービス「Actcast」だ。
エッジAIは、クラウド側ではなくデバイス(エッジ)側のAIで解析する仕組み。例えば映像データの場合、丸ごとデータセンターなどクラウドに送るのではなく、プライバシーに配慮しながら必要な解析データのみを扱うためデータの漏洩リスクを低減でき、通信料も削減できる。解析結果が出るまでの通信時間もかからない。さらに、数千円という安価な汎用デバイス「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」の処理能力を引き上げるという同社ならではの高速化技術が生きている。
既に小売業を中心に数千台のAIカメラが設置されActcastが利用されるなど、国内最大規模のエッジAIインフラを有している。現在は小売業が中心だが、今後は製造業、不動産業、交通インフラなどへ利用企業を拡大する。
他社との協業も広がっている。伊藤忠テクノソリューションズと共同で、AIによる顔認識機能と体温測定機能を備えたデバイスを開発したほか、デジタルプラットフォーム構築支援サービスで協力する。また、アイシンとは安全走行を支える次世代自動運転機能で協業している。
「当社は野心的なスタートアップ。創業初期の段階からメガプラットフォーマーになることを目標としてきました。将来的には海外進出も見据えています」
会社概要 設立 2015年4月 資本金(資本剰余金含む) 28億6,700万円(2020年10月) 本社 東京都千代田区 従業員数 62人 事業内容 Actcast事業(エッジAI)、受託開発事業(次世代自動運転機能での協業等) https://idein.jp/ |