2020年に創業100年を迎えたリンナイ。内藤弘康社長は次の100年を見据えた中期経営計画「New ERA 2025」を推進している。米中市場の深耕や環境性能に優れた給湯器の開発に一層注力することで、社会課題の解決や事業規模の拡大を進める。(雑誌『経済界』2022年11月号より)
林内商会として1920年に創業、国内初の石油コンロを開発し、ガスの厨房・給湯機器メーカーとして国内トップシェアを誇るリンナイ。今年3月期の売上高は前期比6・3%増の3661億8500万円と過去最高を記録した。
内藤社長はさらなる事業基盤の強化を図るべく、中計「New ERA 2025」を策定。事業拡大と企業体質の変革によって社会課題の解決を目指している。事業拡大において特に力を注いでいるのが、成長著しい米中市場への展開だ。前期決算では部品調達難による機会損失が国内事業を直撃したものの、両国での売り上げが業績全体を下支えした。
「米国ではテレワークの普及でセカンドハウスの需要が広がり、当社製品への引き合いが増えています。また、住宅をリフォームする際にタンクに水を貯めてからお湯を沸かす貯湯式から、給水と同時に加熱しながら給湯する瞬間式給湯器に交換する家庭が増え、市場のパイが大きくなっています。中国では台数ベースで業界5位ですが、耐久性の高さを評価されて高単価の製品がヒットし、売り上げトップを実現しています。市場の成長を取り込んで業績を拡大し、革新的な製品に投資していきたいですね」と語る内藤社長。
製品面ではハイブリッド型給湯器「エコワン」をはじめ、従来に比べてCO2排出量を低減したラインナップを拡充。IHコンロやヒートポンプといった電気機器に加えて、家庭用給湯器において世界初の水素100%燃焼の技術開発にも乗り出し、収益向上と脱炭素投資の好サイクルを生み出す考えだ。
「水素の燃焼技術については今年11月にオーストラリアで実証実験を行う計画です。水素インフラの整備状況次第ですが、CO2を排出しない給湯器としていつでも実用化できるように取り組みます。そのためにも、人材育成を強化して魅力的な商品を生み出せる環境を整えます」
同社はモノづくりや外国語、DXに特化した社員研修を実施している。
「中部地方には当社を含めモノづくり企業が数多くあります。製造業の1社としてイノベーションを起こし、地域の振興や雇用の創出に貢献したいと思います」
会社概要 設 立 1950年9月 資 本 金 64億8,441万円 売 上 高 3,661億8,500万円(2022年3月期) 本 社 愛知県名古屋市中川区 従業員数 1万777人(連結・2022年3月現在) 事業内容 熱エネルギー機器の開発、製造、販売 https://www.rinnai.co.jp/ |