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不易と流行のバランスを意識しながら年商1千億円達成を目指す コメ兵ホールディングス 石原卓児

コメ兵HD 石原卓児

ブランドリユース最大手のコメ兵ホールディングスは前期業績において過去最高を達成した。現場の意見を生かしてオンラインオークションやEC販売を強化。リアルとデジタル双方の強みを発揮しながら、2024年度における年商1千億円達成を目指す。(雑誌『経済界』2022年11月号より)

コメ兵HD 石原卓児
コメ兵HD 石原卓児

 古着屋として発足し、今年で創業75年を迎えたコメ兵ホールディングス。宝飾品、カメラ、時計、ブランドアイテムといった取り扱い品目を増やしながら、グループ店舗を137カ所に拡大している。

 2021年3月期決算はコロナ拡大の煽りを受けて最終赤字に沈んだものの、22年3月期は売上高が前期比40・3%増の711億4800億円、純利益も黒字化し22億5900万円と揃って過去最高を記録した。

 この業績の急回復にはどのような要因があるのだろうか。石原卓児社長はその一つに、現場の声を反映したオンライン戦略の強化を挙げる。

 「20年の春には『KOMEHYO』ブランドの全店を丸々2カ月間休業しました。想定以上に厳しい時期となりましたが、従業員には全員の雇用を守ると宣言。現場との対話を通じて、法人向けオークションやECサイトの運営を強化してきました。前期の売り上げに占めるEC比率は46・6%となり、コロナの影響を受けにくい体制を築きつつあります。復活に向けたアイデアを出してくれたスタッフには感謝の気持ちでいっぱいです」

 これと併せて、コロナ不況からの脱却や時計・金相場の上昇、SDGsの推進機運が後押しとなり、業績回復のきっかけをつかむ。

 「デジタル志向が高まる一方で、商品を手に取って見たい、試着したいという高額品へのニーズは変わりません。私たちは人の介在価値を提供することで、お客さまに満足感や安心感を提供しています。販売、買い取り共に、スタッフが接客に専念するための取り組みを進めているところです」

 同社は20年8月から店舗でAIを活用した真贋・型番判定システムを導入。煩雑になりがちな鑑定業務の効率化を図っている。「イノベーションはお客さまにワクワクを感じていただくための手段」とする石原社長。同社は革新的な施策を講じながら、24年度の売上高1千億円の達成を目指す。

 「名古屋の企業は保守的に見られがちですが、重要なのは不易と流行のバランスです。顧客本位を貫くために変化を起こしながら、業績目標を達成する計画です」 

会社概要
設  立 1979年5月
資 本 金 18億378万円
売 上 高 711億4,800万円(2022年3月期)
本  社 愛知県名古屋市中区
従業員数 967人(連結・2022年3月現在)
事業内容 ブランド・ファッション事業、タイヤ・ホイール事業
https://komehyohds.com/