経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

税理士を超えた経営のパートナーとして浜松から中小企業を支援する 税理士法人SS総合会計 鈴木宏典

SS総合会計 鈴木宏典

税理士法人SS総合会計は、静岡県浜松市に拠点を構え、創業50年以上の歴史と実績を持つ。税理士業務にとどまらず、実践的な経営コンサルティングを地域の中小企業に提供し、高い評価と強い支持を得ている。(雑誌『経済界』2022年11月号より)

SS総合会計 鈴木宏典
SS総合会計 鈴木宏典

父親との関係を改善し事業承継思いを大切にする経営を志向

 SS経営コンサルティンググループの中核である税理士法人SS総合会計。税務・財務のコンサルティングに加え、経営者向けのコーチングや、経営計画策定を通じたマネジメントアドバイザリーサービス(MAS)を得意とし、事業承継支援や経営塾・セミナーの運営にも力を注ぐ。

 現在、グループを率いるのは、2017年に代表税理士に就任した2代目の鈴木宏典氏だ。グループ一体となった経営支援システムの基礎は、現在も所長を務める父親の眞一氏が築いた。

 「父に『跡を継げ』と言われたことはありません。仕事に打ち込む父を幼い頃から見て育ち、『税理士になる』という使命感を抱いていました」と振り返る宏典氏。米国留学や東京の会計事務所勤務を経て同所に入所したが、父親と衝突を繰り返していたという。

 「父は数字が全て。対して私は人との関係や『経営者の思い』を大事にしたいと考えるタイプ」。かつて教師に憧れ、指導が得意な宏典氏は、コーチングに力を入れ始めた。浜松の若手経営者らに好評だったが、父親との対立は続き、ついに経営方針発表会から締め出される。

 行き詰まりを感じた宏典氏が相談したのが、一般社団法人才能心理学協会の北端康良氏だった。「北端先生に『尊敬するお父さんと対立したままでは、自分の人生は開けない』と言われて、ハッとしました」。その後、宏典氏は父親の言動を否定するのではなく、受容するよう意識したところ徐々に関係が改善し、その真意が見えてきた。

 「中小企業の経営をよくするためには、父が重視する数字も、私が考える『経営者の思い』も、どちらも大事だと気付いたのです」

 親子は互いを認め合い、晴れて代表税理士の座を引き継いだ。これを機に所名のSS(鈴木眞一のイニシャル)に「Spirit&System」という意味を加え、新たなコンセプトを打ち出した。

あらゆる経営課題を解決する総合経営治療ステーションへ

SS総合会計 鈴木宏典2
SS総合会計 鈴木宏典

 宏典氏は、ビジョンと数字を追求するコンサルを軸にした経営支援モデルを構築した。税務報酬とコンサル料を合わせたサブスク形式のサービスだ。

 具体的には、顧問先の経営者が有効な長期経営計画を立案できるよう、ヒアリングを重ねながら二人三脚でその思いを数字に落とし込む。この経営計画を元にPDCA会議を毎月行い、チェックを重ね、思いと数字を合致させることで、収益を上げていくという仕組み。目指すのは、経営者の思いに耳を傾け、課題解決に共に取り組む「税理士を超えた経営のパートナー」だ。

 コンサルの実例として、顧問先の中に赤字続きで悩む製造業の改善例を挙げる。

 同社の経営を分析した結果、人件費率の高さが発覚。粗利に占める人件費の割合は通常50%程度とすべきところ70%を超えていた。現場の社員たちは残業続きで、人も給与も減らせなかった。5Sの徹底など生産管理の効率化を促したところ、みるみる変化が表れた。月次売上は2800万円から4千万円に。残業時間は激減、利益を社員に還元して従業員満足度が向上した。顧問先の社長も、「仕事が楽しくなった」と笑顔を見せるようになったという。

 他にも、宏典氏が主宰する「若手経営者のための経営輝塾」も好調だ。自身の経験を踏まえて、地元・浜松の経営者を指導。コロナ禍でオンライン受講を可能にしたところ、全国の経営者からの申し込みが相次いでいるという。

 「当所であれば経営について全て解決できると言われる存在になりたい」と語る宏典氏が次に目指すのは「総合経営治療ステーション」としての機能の発揮だ。

 グループ連携はもちろん、外部パートナーと協業しながら上場や事業承継、M&Aなどの相談に対応。予防税務(未来税務)、予防会計(未来会計)を手掛ける税理士法人としての立場を確立する。「中小企業の支援を通じて浜松の活性化を図り、日本を元気にしたい」と願う宏典氏の笑顔は誰よりも輝いている。 

会社概要
設  立 1971年4月
売上高 5億2,000万円(グループ全体)
本  社 静岡県浜松市中区
従業員数 68人(2022年8月1日時点)
事業内容 税理士業・経営コンサルティング業
https://ss-group.co.jp