経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

北海道独自の循環型社会を実現しパートナーシップで地域創生を図る 北海道コカ・コーラボトリング 佐々木康行

北海道コカ・コーラボトリング 佐々木康行

2023年に創業60周年を迎える北海道コカ・コーラボトリング。コロナ禍がもたらした顧客ニーズの変化に対応し安定した経営を続ける一方、地域貢献活動ではさらに幅広い分野に挑戦を広げ、北海道におけるSDGs推進の牽引役を担う。(雑誌『経済界』「新時代を切り拓く北海道特集」2023年2月号より)

北海道コカ・コーラボトリング 佐々木康行
北海道コカ・コーラボトリング
佐々木康行(ささきやすゆき)

顧客行動の変化を捉え商品・サービスを強化

北広島市との「まちづくりに関する包括連携協定」締結式
北広島市との「まちづくりに関する包括連携協定」締結式

 コロナ禍の3年間は、飲料業界に大きな変化をもたらしたと北海道コカ・コーラボトリング社長の佐々木康行氏は話す。

 「ユーザーである生活者には、3つの変化が起きました。1つ目は購買行動の変化。2つ目はDXの浸透。3つ目がSDGs、特に環境問題への意識の向上です。これらの変化を捉えた事業展開を心掛けました」

 ユーザーの購買行動については、家庭内で過ごす時間が増えたことを踏まえ、家庭内需要を意識した商品ラインアップを増やしたという。厳選した国産茶葉を100%使用し、上品な味わいのミルクをブレンドした『綾鷹カフェ』や、英国の人気コーヒーチェーン『コスタコーヒー』のシリーズ展開を始めたほか、Z世代を意識した新たなフレーバーの開発や、エナジードリンク・リラクゼーションドリンクなどの販売も開始した。販路ではウェブ販売の需要が増したことから、ECサイトの展開を強化したという。

 DXを意識した展開としては、2016年にリリースしたアプリ「Coke ON」の活用が挙げられる。キャッシュレス決済やポイント付与、情報発信といった機能のほか、ユーザーが目標歩数を設定し達成するとポイントを付与する、という消費者の健康意識の高まりに対応する機能も搭載。この機能を使ったさまざまなキャンペーンも展開し、北海道独自の企画も実施した。これらの企画が功を奏し、1年間で1千万近い新規ユーザーを獲得して2022年9月には4千万DLを達成している。

創業60周年を迎え「地域創生」を活動の主軸に

同社が販売する商品の一例
同社が販売する商品の一例

 SDGsへの貢献、それにつながるサステナビリティ活動は、同社が長年力を入れてきた分野だ。全世界のコカ・コーラが掲げるスローガン「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」に則り、容器回収やリサイクルPETの推進に力を入れている。主力商品『い·ろ·は·す』については、ラベルを小さくした新デザインを北海道で先行発売した。

 これまで製造工程で出ていた廃棄物についても、茶粕は家畜飼料に、コーヒー粕は牛の敷きわら替わりに使用した後、バイオマス燃料にするなど、農業と結び付けた活用を進めている。「こういった資源の好循環は、北海道だからこそできること。北海道独自の循環型社会を実現したい」と佐々木氏は力を込める。

 人口減少を北海道の最重要課題と捉える同社は、地域の持続性に向けた活動を強化している。22年5月には新たな取り組みとして、やさいバスと連携し「やさいバス北海道」の運行を開始した。グループ会社の配送トラックに地域の生産者の野菜を積み、設定した「バス停」で飲食店や小売店に届けるというもので、物流コストや環境負荷の低減に加えコミュニティの創出も目指す。

 22年10月12日には、北広島市とまちづくりに関する包括連携協定を締結。エスコンフィールド北海道の開業を見据え、障がい者雇用や星槎道都大学との協働による球場内で使用するタオルのデザイン製作など、幅広い分野での連携を進める。

 さらに10月14日には、宇宙産業に取り組む大樹町、SPACE COTANの両者と連携協定を締結。売上げの一部を宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の発展活動へ寄付する「HOSPO支援自販機」を大樹町役場に設置した。今後は賛同企業にも設置していく予定だ。

 「観光は北海道の魅力ですが、人口減少に立ち向かうためには、住みたいと思う人を増やしたいと考えています。北海道の魅力や価値は、観光のほかにも多くあることを伝えたい。パートナーシップを強化し、地域創生に取り組みます」と佐々木氏。『どさんこ企業』として創業時から続けてきた地域貢献を、60周年を機に連携の輪を広げることで、一層推し進めていく。 

会社概要
設立   1963年1月
資本金  29億3,515万4,000円
売上高  388億円(2022年12月期)
本社   北海道札幌市清田区
従業員数 390人(グループ1,255人)
事業内容 北海道を主な販売地域に飲料の製造および販売
https://www.hokkaido.ccbc.co.jp/