北海道に拠点を置くAWLの創業は2016年。独自のエッジAI技術を開発する北大発のベンチャーとして大きな注目を集めている。(雑誌『経済界』「新時代を切り拓く北海道特集」2023年2月号より)
現在、一般的にAIとしてGAFAMなどが提供するプラットフォームは「クラウドAI」といわれ、クラウド上の大量のデータを高速処理して学習、推論するものだ。一方、同社が強みとする「エッジAI」は、より現場に近くリアルタイムで問題を解決するために求められている技術であり、既存の防犯カメラやデバイスを簡単にAI化して防犯、マーケティング、接客支援、業務の効率化などを行う。
「リアルな空間というのは現在はデータ化できていませんが、例えば店舗内を見える化することで欠品やトラブルなどのアラートにより、迅速に対応できます」と語るのは同社の北出宗治社長。この技術の応用により、既に設置されている防犯カメラなどのデバイスを通じて来店者の性別やおおよその年齢を認識し、店舗内に設置したディスプレーに適切な店内広告を表示できる。また、商品の減少や欠品などをカメラで把握し、即座にバックヤードへ伝えることで機会損失を未然に防ぐことも可能であり、既に道内の小売りや流通の現場で導入が進んでいるという。
もともと、的確なマーケティングやターゲティングができていなかった店舗内のサイネージなどは、AI分析を活用することで利用価値が大いに高まる。今後は店舗などの限られた空間から学校や病院、工事現場など幅広い分野に展開し、渋滞や混雑状況の把握、倒れている人の検知などでの利用を進めるとともに、行政との連携も強化していく考えだ。
北出氏は今後の事業展開に関して「18年にはベトナム、22年にはインドに拠点を設立し、成功を収めることができました。今後は世界約20カ国から集まるメンバーと共に、4カ国目となる北米への進出を準備しています」と東南アジアでの成功を軸に、さらなる海外展開を目指している。また道内の若手起業家に向けては「これからの起業家には、道内から東京進出を目指すより、北海道ならではの地域性を生かしながら積極的に海外を目指してほしい」と大きな期待を寄せている。
会社概要 設立 2016年10月 資本金 1億円(連結) 本社 北海道札幌市東区 従業員数 87人(2022年10月1日時点) 事業内容 エッジAIカメラソリューションの開発・提供 https://awl.co.jp/ |