35年前に先代が会社を廃業。西田氏が事業を引き継いで以来、無借金経営を続け、成長街道を突き進んでいる進和建設工業。創業55年目を迎え、建築に住宅、土地活用、介護と、事業軸は多岐にわたる。今後の展開について聞いた。(雑誌『経済界』「関西経済! 次の一手!特集」2023年3月号より)
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西田芳明・進和建設工業代表取締役
進和建設工業といえば「土地活用」の印象が強いが、創業事業はマンションや住宅の設計・施工を中心とする建設。土地を所有する資産家を顧客の中心層として、それぞれの想いやニーズを酌み取り、期待以上の提案に努め、事業軸を広げてきた。
例えば、顧客が所有する土地に建物を建てて終わり、では「期待以上」にならない。どんな付加価値を与えれば入居者が増え、顧客が潤うのか。建物をどう活用すれば顧客の資産が増えるのかを考え抜くのが西田流だ。仮にシングルマンションでは1階に学習塾など入居者にとってメリットのある施設を入れることで、入居者に満足してもらうことが顧客利益につながる。入居者や顧客のために、常に有効な手立てを考えていく企業努力を積み重ねながら、土地活用と資産運用を事業の柱としてきた。家賃を下げることで入居者が喜び、顧客も喜ぶ。そのために建築費の削減も図ってきた。
「金儲けを目的として始めた事業だったら、どれも成功はしなかった」と西田氏。「資産家が所有する土地に建てるのはマンションばかりではない。事務所や工場、介護施設、病院もある。こうした施設を利用する人はもちろん、働く人にとって魅力を提供できなければ、資産価値は上がらないと気付いた」。以来、利用者や従業員の環境を良くしたい一心で、失敗を恐れずに挑戦してきた。
「環境が良くなればおのずと人は集まる。人々が集まる街には活気が生まれる。私たちはそこで何ができるか。視点を変えて、街づくりから建築を考えるようになりました」
西田氏は続ける。
「街づくりと同様に、私がこだわるのが『人づくり』です。私は幼少期を裕福に過ごしたが、家業の倒産も味わった。私の面倒を見てくれていた社員も辞めていった。人生の天も地も味わったおかげで、会社を潰したくない思いは人一倍強い。社員を路頭に迷わせることなく、幸せにするためにも、それぞれが起業家精神を有して、会社の成長を後押しする人材を育てていきたい」
西田氏は一技術者の枠を超えて、常に「チャレンジ精神の塊」であったことも、今日までの成長を後押ししたことは間違いないだろう。
会社概要 設 立●1968年12月 資本金●5,000万円 売上高●45億円 本 社●大阪府堺市 従業員数●40人 事業内容●賃貸マンションの設計・施工、一般的建築工事の設計・施工、住宅の設計・施工、不動産のコンサルタント・管理 https://e-shinwa.net/ |