大阪市を中心にコールセンター事業を展開するアイ・エヌ・ジー・ドットコム。約800人体制で行政や通販会社の顧客窓口業務を受託する。現在はクライアントの商品開発やマーケティングにおいても価値を提供。アウトソーシングの真価を追求し続ける。(雑誌『経済界』「関西経済! 次の一手!特集」2023年3月号より)
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澤田英士・アイ・エヌ・ジー・ドットコム社長
アイ・エヌ・ジー・ドットコムは設立から20年以上、行政の受託事業の実績を積み、近年は新型コロナワクチン接種予約事業を受託している。また通販・EC向け業務支援は、澤田社長の通販コールセンター運営の経験・ノウハウを生かし、化粧品、サプリメントなどの領域を中心に注文受付や問い合わせに対応。インターネットに不安のある年配者に人気の電話受付対応だけでなく、デジタルツールの多様化を受けてメールやチャットにも対応する。
「ツールは変化しても大事なのは人の力」と澤田社長は語る。ロボットは課題を解決しても信頼感・満足感を生む親身な人力にはかなわない。クライアント企業の視点からも、ユーザーの生の意見を吸い上げ、ニーズを「感じ取る」ことは、商品・サービスの改善に役立つ。顧客のサービス継続時の解約阻止にも有効に働いているという。
「人の能力を最大限生かす人材育成は永遠のテーマだ」とも。例えば傾聴する力は座学だけでは身につかない。事例を用いたより実践的な研修を繰り返し行うことで身につくものだ。
働く人の環境づくりにも余念がない。過ごしやすい職場や休憩室の整備では、意見箱で声を集め、一人一人のスペースを広めに取るなど環境の質にこだわっている。社員がリラックスすることでオペレーターへの指導の質が上がるのだという。同社には10年以上勤務するオペレーターが多数在籍している。
強みは丁寧な対応だけではない。丁寧な対応を裏打ちする豊富な専門知識がある。化粧品・医薬品の通販市場拡大に伴い、化粧品検定や通販エキスパート検定合格者には手当を支給し、資格取得を推奨。また薬剤師が必要な第1類医薬品のネット販売にも、オペレーターに薬剤師を登用していく予定だ。
コールセンター事業の進化にも意欲的だ。産経新聞社との合弁会社の産経リサーチ&データを設立。マーケティングリサーチにより蓄積されたデジタルデータを基に、アナログ対応とのハイブリッド提案を行う。DX時代にも求められる人の力がある。信念を貫き、アウトソーシングの真価を発揮する。
会社概要 設 立●2000年4月 本 社●大阪市中央区 事業内容●コンタクトセンターソリューション、セールス&マーケティングソリューション、バックオフィス&人材ソリューション https://www.ingjp.com/ |