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創業以来20年にわたり安定成長。不動産再生事業に強みを発揮 日本土地建物 神山重子

日本土地建物 代表取締役 神山重子 かみやま・しげこ

日本土地建物は、不動産再生事業、収益不動産保有事業、ソリューション事業という3つの事業を手掛けている。中でも主力とするのが不動産再生事業だ。確かな仕入れ力を強みに着実な成長を続けている。(雑誌『経済界』2023年5月号「注目企業2023」特集より)

日本土地建物 代表取締役 神山重子氏

日本土地建物 代表取締役 神山重子 かみやま・しげこ
日本土地建物 代表取締役 神山重子 かみやま・しげこ

物件仕入れ時の情報収集とリノベーション力が特長

創業20周年を迎え、全社員一丸となってさらなる発展を目指す
創業20周年を迎え、全社員一丸となってさらなる発展を目指す

2023年8月に創業20周年という大きな節目を迎える日本土地建物は、創業以来19期連続で黒字を達成するという安定した業績で堅実な経営を続けている。

東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県を中心に事業を展開する同社が手掛ける3つの事業の中で、最も売上げが高く中核的な位置を占めるのが不動産再生事業だ。同業他社に比べ、中古物件を仕入れる際の圧倒的な情報収集力が強みとなっている。

中古物件の仕入れに際しては、営業担当者が対象物件を扱う不動産仲介会社に必ず足を運んで情報を収集し、現地で綿密な市場調査を行う。

「良質な物件を適切な価格で仕入れるには情報が不可欠であり、量・質ともに優れた情報を徹底して集めます。間接的な情報だけでは高値で仕入れる結果になりかねません」と神山重子代表は話す。

物件を仕入れた後のリノベーションについても、市場のニーズや立地特性に応じて内容を決定し、快適な住生活を提供できるようにしていることも強みの一つだ。

「新型コロナウイルス禍で在宅機会が増え、ペット飼育のニーズの高まりに応える形で、これまでペット飼育が禁じられていた中古マンションをペット飼育ができるようにリノベーションを施して売り出しました。また、在宅ワークの普及によって郊外のより広い間取りを、といったニーズを満たす物件も積極的に仕入れています」

都心部では、感度の高い若年層向けに大理石調の床材やデザイン性の高い壁紙を採用したリノベーションも手掛けている。この物件は人気YouTuberが賃貸で入居したことから話題を集めたという。こうした中古物件は常に20~30棟を保有しており、ひと月に2件ほどのリノベーションを施しながら、保有物件の入れ替えを行っている。

新規物件の開発も積極化へ。海外の物件仕入れも増やす

神山代表は分譲開発・資産運用のニッテイ(現・ニッテイホールディングス)や長谷工アーベストで法人仲介のビジネスに携わった後、「自分の時間を確保できる仕事をしたい」と独立し、日本土地建物を立ち上げた。東京・高輪の小さなオフィスからスタートし、業容拡大に伴って10年に現在の帝国ホテルタワー(東京・内幸町)に移転した。

約10年前からは新卒採用も始めており、22年は9人を採用。23年も3人の新卒社員が入社予定となっている。不動産ビジネスに携わりたい学生にとって、物件の仕入れから販売まで1人で担当できるのは同社の魅力になっている。一般に大手企業ではこうした仕事は分業化され、仕入れと販売では担当者が異なる。しかしながら、同社には仕入れから販売まで一連の業務を経験できるというメリットがある。加えて、平日休みの会社が多い不動産業界にあって、同社は土日休にしていることも学生から人気を集めている。

そんな同社が現在、力を入れているのが人材育成だ。外部講師を招いた社員研修も数多く用意し、年に数回は宿泊研修を実施している。

「社員の成長が会社の成長につながります。われわれが目指すのは不動産投資運用・不動産再生ビジネスのプロフェッショナル集団です。人材を人財と考え育成し、共に成長していきたいと考えています」

また、取引先など社外の関係者との交流促進を図るイベントも開催している。「第一水曜交流会」と名付けたゴルフコンペを毎月開催し、社内外の情報交換や人脈づくりなどに役立てている。

神山代表は今後、新築物件の企画と開発を強化していく考えだ。

「これまでにも、東京・四谷の中古ビルを取り壊して新築物件を開発し販売したという実績があります。設計から工事までの手間はかかりますが、収益性も高いので条件の良い土地を探して積極的に取り組みたいですね。今は不動産のクラウドファンディングの分野にチャレンジするため、勉強をしながら準備を進めています」

さらに、海外での事業展開にも意欲的だ。既にハワイやオーストラリアなどでホテルレジデンスを購入し、安定した賃料収入を得ているが、今後も市場調査を行った上で、現地にも足を運び物件の仕入れを増やしていく考えだ。

「当社の経営理念は、『共存、共栄、共生』です。社員同士、あるいは社外の取引先に対して、自分だけ良ければいいという考えではなく、助け合いながら仕事をしていくことを大事にしています」 

会社概要
設立 2003年8月
資本金 3,000万円
売上高 25億円(2022年4月期)
本社 東京都千代田区
従業員数 27人
事業内容 不動産再生事業、収益不動産保有事業、ソリューション事業
https://www.j-tochi.co.jp