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企業の中核部門の業務を担う新たな「事務職」のあり方 ユキリエ 松田豊己

ユキリエ 松田豊己

自社の社員による高品質な業務支援サービスを提供するユキリエ。今回新たに確立した「ユキリエ・アソシエイト」は、企業活動の中枢で基幹業務を強力にサポートし、次世代の「事務職」のあり方を推進する。(雑誌『経済界』2023年7月号「TOP Interview」)

ユキリエ 代表取締役 松田豊己氏のプロフィール

ユキリエ 松田豊己
ユキリエ 代表取締役 松田豊己
まつだ・とよみ――山口県生まれ。アップルジャパンや日本オラクル、日本アーンスト・アンド・ヤング(EY)コンサルティングといった外資系企業を経て2011年にユキリエを設立。アウトソーシング事業を通じて女性の雇用創出と就業支援に取り組む。

企業の中核部門の業務を担う「ユキリエ・アソシエイト」

 「『アソシエイト』とは、一般的に、グローバル企業や法律事務所等で使用される言葉で、役職や権限を持たないものの企業活動の中枢(経営企画、財務会計、人事採用、事業企画、販売管理等)を担う社員を指します。『ユキリエ・アソシエイト』も同様で、私たちが進めるのは専門性ある事務職による業務支援。主体性と参画意識を持ち、顧客企業の社員と一体となり、長期で事業拡大をご支援させていただいております」と語るのは、松田代表。アップルジャパンやオラクル、アーンスト・アンド・ヤング(EY)等のグローバル企業での経験を生かし、顧客の業務生産性向上を着実にサポートする、高品質な業務支援により、同社は、大手上場企業や外資系企業とのビジネスを着々と拡大している。

 「私が以前、在籍していたグローバル企業では各部門で『アソシエイト』と呼ばれる、分野の専門性を持った社員が事務業務を一括して担当していました。部門や部署の垣根を越え、社内外の関係各所とコミュニケーションを図りながら、組織横断的にプロジェクトを推進する取り組み方です。マニュアル通りの単調な作業ではなく、担当業務に対する自分自身の考えや想いを形にする仕事のやり方を実践していました。当社アソシエイトも、そのような仕事のやり方を実践しながら、定型業務はもちろん、高い視点で業務改善(業務工数削減やコスト最適化等)に関する企画から運用、定着に至るまで着手し、柔軟かつ強力なご支援を実現しています」

 ルーティンワークも含めた業務改善や提言等、『ユキリエ・アソシエイト』が顧客企業の社員と一体となり業務の底上げを図ることで、顧客はセールスプロモーションやブランディング等、業績に関する重要な企業活動に注力できるようサポートするという構図だ。市場競争が激化する中、同社が手掛ける新たな業務支援のあり方は、生産性や効率性向上に寄与するだけでなく、顧客の競争優位性を高める点にもメリットがある。

 「企業活動の中核業務を外部人材が担うことが、本来の意味での『アウト(外部の)ソーシング(経営資源を活用すること)』と捉えています。近年では、経営のリスクとなる〝業務属人化〟への低減策としてもご活用いただく企業さまが増えている状況です。先行きの見えない不透明な時代だからこそ、自社に必要な外部のナレッジやノウハウ等のリソースを、いかに有効に活用していくことができるかが要になると考えています」

事務未経験からグローバル標準へ。業務品質を高める独自研修制度

 政府主導による成長分野への人材の流動化を背景に、リスキリングや学び直しの必要性が叫ばれるが、同社では設立以来、オフィスワーク未経験者を専門性ある人材に一気に引き上げ、企業の中枢となる部門の業務レベルまで育成する。それを実現するのは、グローバル企業のエッセンスを凝縮した独自の研修制度「ユキリエ・ユニバーシティ」だ。社員一人一人が確実にスキルアップし、専門分野に特化した人材になるためのプログラムが用意されている。

 「『ユキリエ・ユニバーシティ』では、仕事に対するマインドセットをテーマとしたアウトプットを重視しています。当社の研修は、技術やスキルを〝目的〟として追求するのではなく、それを〝手段〟として、いかにお客さまへ貢献できるかという点に軸足を置いています。研修の狙いはヒューマンスキルを養うこと。周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら業務の全体像を把握し、事実に基づき、仮説を立て、そして検証をする、という仕事のフレームワークを身に付けます」

 アウトプットに比重を置いた独自の研修制度を通じ、仕事の進め方の大枠を習得した上で、顧客ニーズに即した柔軟な業務支援を実現する社員が多く在籍する。

 「企業を取り巻く状況が目まぐるしく変化を遂げる中でも、お客さまに貢献できる人材を育てるのが、『ユキリエ・ユニバーシティ』です。研修を通じ身に付く、グローバルレベルの業務品質は、多くの企業さまよりご支持いただいております」

 そんな同社は昨秋、関連会社である株式会社クラリスと共に本社オフィスを六本木ヒルズへ移転した。現在、社員数はグループ全体で350名。毎年堅調な成長を遂げており、新たな環境の下、今後も更なる業容拡大を目指す。

 「市場競争の激化、急速なグローバル化を背景に日本社会は大きな転換期を迎え、企業における生産性向上と人的資源の最適化は喫緊の課題です。欧米流のジョブ型雇用導入を巡る課題やダイバーシティへの対応施策等、各地でさまざまな論議がなされていますが、そうした一連の課題の核心は、〝仕事の取り組み方〟にあるのではないか、と私たちは仮説を立てています。既存の枠組みの中で画一的な仕事に終始するのではなく、担当業務をいかに社会へインパクトあるものにするかを考え、創意工夫を重ねることに本来の〝仕事〟の意味があると考えています。バックオフィス業務だからこそ、品質に重点を置いた当社独自の手法は、大手企業・外資系企業さまを中心にご共感いただいており、今後もお客さま視点で常に事業展望を語ることができるビジネスパートナーとして、企業さまの期待に応えていきます」

 ユキリエの挑戦と躍進は止まらない。 

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