経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

先端技術を経済に実装し人々の生活を発展させたい 石川聡彦 アイデミー

燦々 石川聡彦 アイデミー メイン

ゲストは、今年6月にグロース市場に上場したアイデミーの石川聡彦さん。AI/DX内製化支援を軸とした人材育成プログラムを提供する気鋭の若手起業家です。「いつの時代も人類が発展してきたドライバーは技術。技術の力で社会を豊かにしたい」と話す石川さんが思い描く未来の社会とは。聞き手・似顔絵=佐藤有美 構成=大澤義幸 photo=市川文雄(雑誌『経済界』2023年10月号より)

石川聡彦 アイデミー社長のプロフィール

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石川聡彦 アイデミー社長
いしかわ・あきひこ 1992年生まれ。東京大学工学部卒業。同大学院中退。在学中に起業し、機械学習の応用研究に従事した経験を生かし、DX/GX人材のリスキリングサービス「Aidemy」やDXプロジェクト伴走支援サービス「Modeloy」を開発・提供。

「金の卵」応募から9年。今年6月にグロース市場上場

燦々 アイデミー 東証上場
燦々 アイデミー 東証上場

佐藤 アイデミーのグロース市場上場(6月22日)、おめでとうございます。今の素直なお気持ちは。

石川 上場承認が5月19日でしたが、例年上場承認を受けたうちの約1割弱が諸事情で上場できません。上場日の朝、東京証券取引所の祝上場の動画を見てホッとしました。

佐藤 創業から9年で上場されたのは、さぞ頑張って成長されたのだろうと感慨深いです。上場を意識し始めたのはいつ頃ですか。

石川 2014年に起業し、17年にアイデミーを設立(社名変更)した後、VC、事業会社、個人投資家から投資を頂いていました。VCの投資期間10年を一区切りと考え、目指す姿として上場を意識しました。

佐藤 その想いを貫いて上場されたのは素晴らしい。石川さんと初めてお会いしたのも14年で、弊社主催の起業家アワード「金の卵発掘プロジェクト」(現「経済界GoldenPitch」)」にご応募いただき、学生起業家として最終選考まで残りました。今立場を変え、こうしてお話しできるのがうれしいです。

石川 その節はありがとうございました。豪華なホテルの会場の金屏風の前で、私も佐藤社長や著名な審査員を前にプレゼンできて感動したのを覚えています。

AI/DXの先端技術で21世紀の社会の発展を促す

燦々 石川聡彦 アイデミー 佐藤有美
燦々 石川聡彦 アイデミー 佐藤有美

佐藤 アイデミーでは法人向けDX人材育成・リスキリングを支援するオンラインDXラーニングサービス「Aidemy Business」をはじめ、研修サービスやプログラミングスクール等を提供されています。現在の利用状況は増えていますか。

石川 「Aidemy Business」は180コース以上、累計利用法人数は400社以上、累計ユーザー数は22万人以上(23年5月末時点)を数えます。エンタープライズ(従業員1千人以上の企業)の利用率が95%以上を占め、フォーチュン誌の「フォーチュン・グローバル500(2021)」選出の日本企業の約7割が当社のサービスを利用しています。

佐藤 御社の基幹事業のAI/DXは今注目の技術ですが、この分野に興味を持たれたきっかけは。

石川 東大大学院で環境工学を専攻していた時、水処理にAIを使った機械学習の応用研究をしていました。当時からAIは自動車や医療、素材研究などの分野でも応用可能性があると感じていて、自分がやりたいこと、やらなければならないこと、市場性を鑑みた上で、VCと話し合って事業テーマを決めました。

佐藤 石川さんは子どもの頃、歌舞伎を6年間されていたと聞いています。そこから起業家への道をどう歩んで来られたのでしょう。

石川 私は梨園出身ではないのですが、子役のプロダクションに所属していた頃、幼稚園から小学5年生まで歌舞伎の世界にいました。東京の歌舞伎座、国立劇場、新橋演舞場のほか地方巡業も経験しました。歌舞伎のおかげで、今も目力が強いと言われます。

佐藤 強いですね(笑)。

石川 その後、教師を目指した時期もありましたが、大学入学後にビジネスコンテストの運営サークル「KING」に参加し、1年生の時に10歳上の出雲充さんがユーグレナを上場させたのを見て、起業は夢と社会的意義があり面白そうだと思ったんです。コーポレートカラーのネクタイも出雲さんをマネしています(笑)。

佐藤 お似合いですよ。KINGは弊社のインキュベーション型コワーキング施設「KIC」でも提携しています。会社の今後は。

石川 アイデミーは「先端技術を、経済実装する。」をミッションとしています。現在はあらゆる分野で生成AIを出力する技術がオープンAIによって生まれています。まずは生成AIの面白さや、どんな使い方が便利なのかを考えて教育コンテンツをつくる。それを自ら活用する。さらにお客さまの活用もコンサルティングするという3つのステップを踏んでサービス化していきます。目標としては、エンタープライズの利用を1千社に増やし、売り上げ500億円、営業利益100億円を早期に実現します。

佐藤 少子高齢社会で厳しい経営環境は続きますが、石川さんの言葉は現実味がありますね。

石川 人口減少を止めることはできませんが、技術の力で今よりも生産性の高い社会を実現したい。人類が発展してきた最初のドライバーは技術ですし、産業革命もそう。21世紀の発展を促す技術はAI、そしてDXなので、私たちはこの先端事業を扱っていきます。

佐藤 最後に、御年30歳の石川さんは起業を目指す若者たちの憧れとなる存在かと思います。後進育成などに関心はありますか。

石川 微力ながら未上場の企業5社に出資しています。アイデミーを通じて先輩からノウハウや経験を学んだので、今同じように私から後輩に託しています。上場企業の社長という立場でも、初心を忘れず彼らの身近な存在でありたいですね。

燦々 石川聡彦 アイデミー イラスト
燦々 石川聡彦 アイデミー イラスト