国内最大手のコンタクトレンズメーカーであるメニコン。今年4月、新社長に川浦氏が就任した。経営企画、マーケティング、研究開発、生産などあらゆる業務を経験してきたゼネラリストがどんな舵取りをしていくのだろうか。抱負を語ってもらった。(雑誌『経済界』2023年11月号 第2特集「リブート中部経済」より)
独学でコンタクトレンズを研究し、1951年に日本で初めて角膜コンタクトレンズを実用化した初代社長の田中恭一。その長男で業界初の定額制会員システム(メルスプラン)を考案した2代目社長(現会長)の田中英成。メニコンを一躍国内最大手のコンタクトレンズメーカーへと育てた創業家の2人からバトンを託された川浦社長は「先代から言われたのはカルチャーの伝承。『創造』『独創』『挑戦』という経営理念に基づき、社員みんなで面白いアイデアを出し合えるような職場をつくっていきたい」と抱負を述べた。
デジタル機器の普及などの影響で、近視人口が世界的に増加。パンデミックの一歩手前の状態と言われている。それに伴い、コンタクトレンズの世界市場も成長中だ。当然のごとくメーカー間の競争も激化している。現在、技術開発の分野で注目されているのは、寝ている間に装着しているだけで視力が回復する「オルソケラトロジーレンズ」や薬剤含有タイプのレンズなど、新技術を活用したコンタクトレンズの開発だ。
メニコンではこれ以外に米国企業と共同で「スマートコンタクトレンズ」の開発にも取り組んでいる。電子デバイスをレンズに埋め込むことで、装着時に文字情報などが浮かんで見える、まさに新時代のレンズだ。
「レンズの技術開発は進化しています。新規の市場のポテンシャルも大きいので、どの技術にリソースを投入していくか見極めが重要です」
コンタクトレンズ関連の売り上げが90%以上を占める同社では、新技術開発で新たな価値を生み出すことが求められている。同時にコンタクトレンズ以外の事業での売り上げを伸ばすことも課題となっている。
「当社は視力を通じて人々の生活を豊かにしてきましたが、今後は嗅覚や聴覚など五感に関わるビジネスで人々の生活を豊かにしたい」
サプリメントなどの食品事業やフレグランス事業を展開し、コンタクトレンズ以外の年間売り上げを100億円台に乗せることを目指す。
「これまでは強烈な個性を持ったトップに引っ張られる形で大きくなりましたが、これからは社員全員の力を結集して発展させていきます」。川浦社長の手腕に注目だ。
会社概要 創 業 1951年2月(設立 1957年7月) 資 本 金 54億8,756万円 売 上 高 1,101億円(2023年3月期) 本 社 愛知県名古屋市中区 従業員数 1,637人 事業内容 コンタクトレンズの製造・販売 https://www.menicon.co.jp/ |