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新市場の創造を目指しエンゲージメントを最大化 個性尊重の重要性 テイクアンドギヴ・ニーズ 野尻佳孝

テイクアンドギヴ・ニーズ 野尻佳孝

テイクアンドギヴ・ニーズ 野尻佳孝
テイクアンドギヴ・ニーズ 会長 野尻佳孝 のじり・よしたか

全国に60の結婚式場を持ち、ブライダル業界大手のテイクアンドギヴ・ニーズも、人的資本経営に積極的に取り組む。同社はブライダル事業に留まらず、2017年には、富裕層向けのブティックホテルブランド「TRUNK(HOTEL)」の1号店を渋谷区神宮前に立ち上げ、今年9月には代々木公園に隣接した「トランクホテル ヨヨギパーク」をオープンした。

「宿泊客は全体で8割以上が欧米の方です。まず国内でさらなる店舗展開を目指し、その後は東アジアを中心とした海外展開を目指している。欧米と異なり、アジアにはまだグローバルに通用するブランド力のあるラグジュアリー・ブティックホテルは数が少なく、チャンスがある」と野尻佳孝会長は語る。

新市場の創造や事業拡大には、従業員の主体性の発揮を促す高いエンゲージメントが欠かせない。同時に多様性は地道な積み重ねでしか成り立ち得ない。

「『ウェルビーイング』や『ダイバーシティ』という言葉が一般化する前から、当社は従業員の個性や自己実現を尊重するべく創業時から挑戦してきました。結果として、社会問題解決に貢献するさまざまな試みはこのボトムアップ的な動きから推進力を得ています」

ステークホルダー全体の幸福を考慮した事業展開が、従業員の仕事への愛着と誇り、業績に結実する。

「中度・重度知的障がい者の雇用も15年以上継続しています。この取り組みも継続することで認知され、JICAの視察を受け入れるなど評価されています。 社会からのこのような生の声こそが、従業員のやり甲斐と、高いエンゲージメントに直結します」 

(雑誌『経済界』2023年12月号「企業改革の実践者たち」特集より)