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人的資本を重視したシステム開発事業で人も企業も成長させる DIVX 物部英嗣

DIVX 物部英嗣

AI技術を活用したシステム開発で、スタートアップや社内ベンチャー、地方自治体などから選ばれているDIVX。「人的資本の拡大が企業の価値を高める」と物部英嗣取締役社長は話し、柔軟な働き方ができる環境で人材育成に力を入れている。(雑誌『経済界』2023年12月号「企業改革の実践者たち」特集より)

DIVX 物部英嗣
DIVX 取締役社長 物部英嗣 ものべ・えいじ

 プログラミングスクール「テックキャンプ」を運営するdivの子会社として設立されたDIVX。IT人材が不足する中で、スクールの卒業生も積極的に活用し、実務を経験することで優秀なITエンジニアを育成している。

 事業はAI技術を活用したソフトウェア開発、ソリューション提供、企業のDX推進業務が中心だ。

 人的資本を成長・拡大させることを経営の本質として捉えており、人材育成の要の一つがAIサポートツールの使用義務だ。物部社長は「AIを使うことでシステムの品質が安定するだけでなく、考えて悩む時間が少なくなります。これまで先輩に聞いていたことをAIに聞いて解決できるので、時間効率がよく、成長も早くなるのです」と断言する。さらに「人に教える立場に立つ」ことが成長の解像度を上げると考えており、フリーランスではなく、社員として働くことの大切さを説く。

 「当社のエンジニアの仕事は、客先での常駐ではなく、自社での開発がメインです。チームのメンバーに技術を教えることで、技術をより深め、成長効率が高まります」

 また、地方のIT人材不足が顕著であることに着目し、地方自治体との提携もスタートした。その第一弾が鹿児島県霧島市との立地協定で、サテライトオフィス「霧島ラボ」を新設した。IT人材の現地採用と戦力化、第1次産業、第2次産業に対するDX化やIoT活用といった研究開発とビジネス創出で、地域に根差した企業成長を目指す。

 「地方で雇用を増やせば、人口も増え、税収も増え、自治体にとってメリットは大きい。地元で働きたい人の受け皿にもなります」

 大手IT企業は地方のDX化には興味を示しておらず、DIVXのようなITベンチャーが参入しやすい面もあるという。2030年には全国50拠点での活動を目指しており、現在の東京と地方拠点の在籍比率を7:3から5:5にする予定だ。

 「2030年にはITエンジニアが30万人不足すると言われています。われわれがその1%の3千人のエンジニアを育成・採用し、社会問題の解決に貢献できればと考えています」 

会社概要
設  立 2021年
資 本 金 2,000万円
本  社 東京都渋谷区
従業員数 138人
事業内容 AI技術を活用したソフトウェア開発およびソリューション提供
https://www.divx.co.jp/