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顧客利益最優先の理念と高いスキルが評価され急成長 川島裕司 プラセム

プラセム 川島裕司

元気なベンチャー企業が増えている福岡県下において成長著しく注目を集めているのがWEBコンサルティング会社のプラセム。川島裕司社長は「顧客の利益を最優先に考え、従業員個人の能力を伸ばせば、大手にも負けない領域はつくれる」と自信を漲らせている。(雑誌『経済界』「半導体特需に沸く九州特集」2024年1月号より)

プラセム 川島裕司
プラセム 川島裕司

将来を見据えて売上高より今は人材育成に注力

 「圧倒的な顧客ファースト」を掲げWEBコンサルティング事業で急成長しているプラセム。創業5年目となる前期は売上高26億4千万円。コロナ禍で影響を受けながらも対前年同期比7億円以上の増収を果たした。今期の目標をたずねると「売り上げはそれほど伸びなくてもいいです」とポジティブ思考の川島社長から予想外の言葉が返ってきた。

 「業績については支援していただいている金融機関からも高い評価を得ていますが、要因は中途採用メンバーが力をつけ、会社の規模に比べて大型案件の獲得が順調に進んだ結果だと思います。将来を見据え、今は社員教育に力を注ぐ時期だと思っています」と説明する。

 規模の大きいネット広告の受注ではコンペが一般的で、企業規模の大小を問わず、日本全国の代理店と競合することも珍しくないが、「実は、ネット広告の場合、企業の規模ではなく運用を担当する個人のスキルが重要です。またアフターサービスも大切で、ここも大手に負けない自信があります」という。

 「個人のスキルで戦えるからこそ社員の教育、育成を重視し、経験できる環境を用意しています」。取引先は大手も含めて約300社。顧客ファーストの姿勢が認められて、既存顧客からの紹介案件も増えている。

 実績は十分だ。2022年上半期には、Yahoo!JAPANから、検索広告などの運用知識や実績が評価され「三ツ星パートナー」と認められた。九州の企業では初のことである。Googleからも広告の品質やアカウント数などをもとに「premier partner」(全国代理店上位3%以内)と認定されている。

好待遇に満足しない意欲ある新卒社員を採用

プラセム
GoogleとYahoo!の認定書

 売上高を意識すれば、採用を増やすのが近道だが、同社は違う。23年度は総合職4人、事務職1人の新卒社員を採用したが、ミスマッチングにならないように社長自らが会社の方針を何度も説明したという。「それでも応募者が多く、全国からいい人が来てくれた」と目を細める。

 川島社長は同社の働き方を高校野球に例えて「放課後の決まった時間に楽しく野球をする生徒と、プロを目指し帰宅後も自主練をする生徒がいるとすれば、求めている人材は後者」と言い切る。

 新卒社員の初任給は「28万円」と福岡では高額だが「これで満足する方は向いていないと思います。2年後には必ず2倍にするくらいの意気込みが欲しいです」。昇給は年4回、ボーナスはなく、個人の業績に連動したインセンティブがある。「ゆとり」や「ライフワークバランス」を重視する社会的風潮とは真逆だが「それを承知で、むしろ自分に合っていると希望する若者がいます。多数ではありませんが、それで十分です」

 ネット広告の現場では顧客から「困っている。急いで対応してほしい」「土日に作業お願いできないか」という要望も少なくない。「圧倒的な顧客ファーストで、期待に応えるのは当然で、従業員にもその姿勢を求めている」

 従業員の平均年齢は27歳、その年収は600万~700万円だ。東京と比べ家賃など物価が安い福岡では厚遇といえるが「ブラック企業とは異なると思います。社員の自主性を重んじていますし、売上目標を掲げて、数字に近づけるようプレッシャーをかけることもありませんから」

働く環境を整備した結果新規事業も好調

 プラセムは複数の公的機関から「働きがいのある会社」と「健康経営優良法人」と認定されている。社内表彰制度や部署の違う人同士でコミュニケーションを深めるための定期的なランチ会、社外研修などへの積極的な参加呼びかけなどが評価されたという。「意外でしょうね」と川島社長は苦笑するが、従業員が意欲的に仕事ができる職場環境が評価された表れだろう。

 川島社長は創業時から新卒、中途採用を問わず「プラセムで技術力・知識を磨き、いずれ独立を目指せ」と発破をかけているが、「この会社は居心地が良く一生働きたい」という希望が増えたという。「従業員を大切にして組織を強くしたい。それはだらだらして、暇な時間ばかりの組織ではないはずです」

 新規事業として人材と不動産の両部門のコンサルティング事業にも力を入れている。とりわけ人材事業では求職者に寄り添い、時間をかけてマッチング先を探す。求職、求人の双方とも満足度が高く業績は順調だ。WEBと人材、分野は別だが「圧倒的な顧客ファーストを」という川島社長のぶれない経営姿勢が生きている結果といえそうだ。