保養所を通じた新たな施設活用方法やあり方を提唱する保養所運営受託のパイオニアであるエムアンドエムサービス。保養所の運営管理から一般営業施設まで、環境に合わせて従業員と共に知恵と工夫で利用者をファン化し、リピート率や業績アップを支援する。(雑誌『経済界』2024年3月号「関西経済の底力特集」より)
バブル崩壊以降、一種のステータスだった福利厚生施設を手放す企業が増えている。
エムアンドエムサービスは、クライアント企業の従業員が非日常を有意義に過ごす施設として活用提案し、延べ200以上もの施設で運営管理等の受託実績を誇る。前身は、長野県のスキー場の経営とペンションなど小規模宿泊施設のリゾート開発を行う信州綜合開発観光内の一事業部。1997年に保養所の運営受託事業部が分離独立した。保養所は旅館と違い、費用対効果を明確に示すことが難しく、業務内容は多岐にわたる。併せてそこで多種多様な施設に対応していくことで豊富なノウハウを蓄積してきた。
クライアント企業の従業員が過ごしやすい環境を提供するために、各施設の支配人は社員たちと知恵を出し合い、イベントを企画するなど飽きられない工夫をしている。好事例として、本部のイベント企画部隊「楽催PJ」を通じて全施設に情報共有している。こうした小さな積み重ねがリピート率アップにつながり、同社が支持される強みになっている。
また、施設の一部を一般客が利用できる〝お宿ねっと〟も開始。一般客が宿泊することで得られる収益を受託費の一部に充てることで、委託費用の抑制、集客、サービス向上、利益の増加につながる。旅行先選択肢の一つとして今後も〝お宿ねっと〟の利用増加が見込まれている。
人材面においては、外国人雇用と、保養所周辺の地元のシニア層の活用も進めており、地元から必要とされる拠点になりつつある。
「昔と比べて保養所のあり方が大きく変わってきました。利用者は明日への活力を養っていただきたい。当社は今後も安定的かつ継続的に業績を向上していくために、保養所の受託運営と一般営業施設の運営のバランスを重視しています。特に一般営業施設では過度に贅沢な宿を造るのではなく、地方の日常を表現した心の安らげる宿を目指しています。また地域に根差した中小規模の旅館協力体制を築くことも重要と考えています。多くの方に『異日常』を体感していただける『お宿』ネットワークで地域発展を支援したい」と小池社長は意気込みを語る。
会社概要 設 立 1997年9月 資 本 金 3,000万円 売 上 高 60億円(2022年度) 本 社 大阪市中央区 従業員数 1,177人(2023年3月末現在) 事業内容 ホテル・旅館業およびレストラン・飲食店業、保養所、迎賓館、研修所の運営受託事業等 https://www.mandm.co.jp/ |