全道への飲料供給網はもちろん、SDGsへの貢献を目指したサスティナビリティ活動でも地域を牽引する北海道コカ・コーラボトリング。生活者への貢献を掲げる姿勢はぶれることなく、前進を続ける。(雑誌『経済界』「攻勢に転じる北海道特集」2024年4月号より)
需要増加の中でも確実に商品を供給する使命
2023年は北海道コカ・コーラボトリングにとって創業60周年の節目の年になった。社内公募したスローガンやテレビCMで地域や顧客である北海道の生活者への感謝を伝えた。だが佐々木康行社長は、単純に祝賀ムードに喜んでばかりはいられなかったと振り返る。
「年初から円安や物価上昇など、経営環境としてはリスクとなる要素が多かった。そのため社内には『危機時の経営』と警戒を促し、事業計画を立てました」と気持ちを引き締めたという。
その後、5月に入ると新型コロナウイルスが5類に移行し、それ以降は街中にも人流が回復。さらに7月以降の猛暑もあって、売り上げは順調に伸び、経営は改善に向かった。夏季は生産現場がフル稼働するまでに復活し、需給推移を見据えた生産計画を立案してやり遂げた。「『い・ろ・は・す』、『アクエリアス』などは水分補給にお求めいただく商品。これらを切らしてはいけないと現場に発破をかけました」と話す佐々木社長は、同時に品質を維持する体制を強化して足元を固めた。
「製造機器の部品調達も、関連業界に人手不足や物価高の影響が出てきています。飲料という、口に入るものを製造する企業として、安全安心は必ず担保しなければいけない課題です。自衛策として、求められる以上に必要なコストをかけました」
全道4万台超の自動販売機への供給を確実にするため、現場を走り周る自動販売機オペレーターには空調服を導入し、暑さ対策を万全にした。
自動販売機では新たな気づきもあったという。「アプリ『Coke ON』の自動販売機商品の読み上げ機能が、目の不自由な方の買い物に役立ち、とても喜ばれることがわかりました。一方で機能の周知が足りないこともわかり、さまざまな場所で使い方のレクチャーを行いました」
サスティナビリティ活動のフロントランナーとして
「危機時の経営」として始まった23年も、長年注力してきたサスティナビリティ活動への情熱は変えることはなかった。
「コロナ禍を経て、われわれの企業活動は北海道という社会基盤があってのものという意識が高まりました。自然環境や生活者を守る取り組みは、必ずやらなければいけないと位置付けています」と語る佐々木社長。
その情熱により多くの成果を上げることができた。脱炭素の取り組みでは、北海道電力関連会社とのオフサイトPPAで太陽光発電による電力を調達し、札幌工場の使用電力の10%弱を再生可能エネルギーに転換した。
大学との協働による、循環型社会の構築を目指した取り組みでも進歩があった。飲料の製造残渣の茶がらを、酪農学園大学との共同の取り組みとして畜産現場で飼料に再利用して育てた牛肉があり、これをイオン北海道で販売することができた。
継続的な活動も実りが多かったと佐々木社長は言う。
「水辺での環境保全活動に取り組む団体を支援する『北海道e-水プロジェクト』では、高校生など若い世代の活動団体が増えました。活動テーマもマイクロプラスチック問題など時代を反映したものが多く、当社でも大学と連携した研究を進めたいと感じています」
今後はパートナーシップによる連携をさらに活性化するため、さまざまな活動につながりを持たせていくことを佐々木社長は課題に据える。
「社内SNSなどで部署間連携が進み、さまざまな取り組みが活性化したことで、情報発信や情報交換の重要さを感じています。社外に向けても、活動をリリースするだけではなく、関連情報にも触れやすくして、市民や外部企業・団体を巻き込めるようにしたい」と、ウェブサイトのリニューアルを中心に、万全な施策を打っていく方針だ。
会社概要 設立 1963年1月 資本金 29億3,515万4,000円 売上高 516億円(2022年12月期) 本社 北海道札幌市清田区 従業員数 236人(グループ1,195人) 事業内容 北海道を主な販売地域に飲料の製造および販売 https://www.hokkaido.ccbc.co.jp/ |