岡山市に本社を構え、創業114年目を迎えたWORK SMILE LABO。一時は倒産の危機に直面するも、4代目の石井聖博代表は事業ドメインをOA機器販売業からワークスタイル創造提案業に再構築。挑戦する組織への改革と業績回復の手腕が光る。(雑誌『経済界』2024年12月号「総力特集 強い組織の流儀」より)
事務機等の販売を一世紀にわたり続けてきたWORK SMILE LABO。現ビジョン「中小企業の笑顔溢れるワークスタイルモデルカンパニーになる!」を掲げ、事業ドメインをワークスタイル創造提案業に再構築したのは、石井氏が4代目代表に就任した2015年のことだ。
「入社3年目の09年に先代社長の父親から、『廃業するか否か』という危機的状況を告げられたんです。それまで会社の実情も知らず批判ばかりしていた自分に腹が立ち、後継者として会社を絶対につぶしてはならない、という覚悟が生まれました」
当時は銀行からも「事業再構築は茨の道。やれるのか」と問われ、社有地売却等で倒産の危機をしのぐ中、復活の契機となったのが、「今よりも処理速度の速いパソコンが欲しい」という知人社長からの相談だった。
「その社長はパソコンにではなく、その先の効率性や生産性、社員満足度の向上等を見据え、価値にお金を払うのだと気付いたんです。そこでこれまでと『売るもの』は同じでも、お客さんの良い働き方を実現するため、『売る価値』を再定義しました」
これが弟の聖至専務と練り上げたワークスタイル創造提案の起点となる。特徴は、まず同社で良い働き方を実践しそれを事例として展開する際に、同社(ライブオフィス)でお客さんに体験してもらい、「うちもまねしたい」を喚起する点にある。
例えば「働き方改革」の概念が世に出る前からテレワークを実践してきた同社で(総務省「テレワーク先駆者百選」総務大臣賞受賞)、お客さんが実際のテレワークを見て導入する、という流れだ。これまでに県内外からの来社数は累計3千社に上る。
「良い働き方を創り続ければ会社の存在価値は高まります。そのために社員が挑戦し進化する社風が必要」と語る。これに絡めて新卒採用を始め、今では20代が主軸の挑戦意欲旺盛な、県内屈指の新卒人気企業となった。「社員には夢を買ってもらっているので、それを裏切らないよう僕自身も未来からの逆算で挑戦を続け、会社と成長していきます」。
22年には一般社団法人中小企業働き方支援協会を設立。本業との協働で中小企業の働き方を支援し、地方から日本を活性化していく。
会社概要 創業●1911年11月(明治44年)、1969年法人化(石井事務機センター)、2018年現社名に変更 資本金●5,300万円 本社●岡山県岡山市南区 従業員数●35人 事業内容●笑顔溢れるワークスタイル創造提案業。採用・育成支援、働きやすい環境づくり支援、DX支援、オフィスデザイン等 https://wakusuma.com/ |