ビジネスバイタリティある大阪の復興に貢献していくのは、企業支援を行う北浜キャピタルパートナーズ。再始動に当たり就任となった取締役副社長兼COO平岡佳明氏の経営手腕に期待が高まる。燦キャピタルを北浜キャピタルパートナーズへの社名変更と共に企業再生、生まれ変わらせる男、平岡佳明が今後の経営手腕を振るう!(雑誌『経済界』2025年3月号「関西経済、新時代!」特集より)
社会課題をロジカルに捉え機動力で発展に導く
2024年7月、燦キャピタルマネジメントから商号を変更し、本社を移転。同時期に就任した副社長兼COOである平岡佳明氏は、米国で大学を卒業し、帰国後に大阪府・市商工会議所から形成される財団法人のインバウンド領域で手腕を発揮してきた実績を買われ同社に参画、事業の指揮を執る。
同社の創業事業の不動産ファンドは、一時は1千億円ほどまで運用資産を伸ばしたが、リーマンショックを機に低迷を続けた。
24年をリスタートの年とし、成長の見込めるセグメントで、時価総額25億円から1千億~2千億円規模を目指す。再生可能エネルギー、インバウンド、地方創生、日本の技術、そして世の中の新たなニーズといった分野における事業目的のための不動産投資を手掛け、SPC(特別目的会社)を含めた立ち上げを行っている。また、既存の不動産領域では、新たな事業展開のため、優良不動産会社の子会社化を今春3月に予定。
平岡氏はこれらの経営に携わりながら、短期・中期戦略による同社の再起を図る。
世界を見渡してみると、エネルギー問題はわが国にとっても重要な課題だ。同社が挑むのは、山林事業およびバイオマス燃料供給事業。熊本県五木村に実測推定1300ha超の山林を取得、木材チップの販売や、「カーボンクレジット」の販売も手掛けていく。
収益化に向け、コンサルティングを行いながら10年間で売上累計39億1700万円、経常利益1902万円を見込み、森林面積世界2位の日本で一つのモデルを確立する。さらには立木の証券化などによる森林活用にも積極的だ。
社会構造の飛躍的変化のトリガーとなり得るAIにも注目している。中でも同社が着目したのはデータセンターだ。
最大の課題は安定したエネルギー供給と通信網の確保。子会社である北浜GRFは三重県伊賀市にデータセンターを設立。また太陽光発電・蓄電所事業を展開し、膨大になる電力需要にも対応していく。
同事業には日本電信電話の元最高技術顧問の井上友二工学博士、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)元理事の益子信郎工学博士を顧問に迎え、知見を元に日本最先端の通信システムを構築している。さらに国内大手デベロッパーとマレーシアの国家関連上場会社とのSPCを立ち上げ、さまざまな事業展開をするための新たなプロジェクトにも攻勢を見せる。
「検討」ではなく「検証」をスピードある意思決定で前進
今後、社会は大きく変化していくだろうと平岡氏は見込む。AIをはじめ世界情勢や経済政策が複雑に絡む中、未来を読みビジネスの種を仕掛けていく。そのリスクをどう捉えるのか。
平岡氏はかつて手掛けていたインバウンドがコロナ禍で大打撃を受けた。しかし、着目していた異なるフィールドに活路を見いだすことができた。
「情報量が少ないと、危機になった時に臆病になります。多くのデータを持っておくことは、自身の経験やノウハウと掛け合わせて変革を可能にします。一見無関係だと思える情報にも、ムダだと排除せず触れておくことでビジネスチャンスにつながることは多々あります」
同社の強みは少数精鋭によるスピードだ。事業を統括する平岡氏を筆頭に、的確な判断で見極め、着手していくメンバーが揃った。努力と能力で挑んでいく。
また同社には、手掛けながら修正し推進していく「検証」の文化がある。検討ばかりして前進しない企業では、新しい社会を創造していくことは難しい。データセンターに台湾の企業を選んだのも、決断の速さがカギとなったという。VUCAの時代では、検討によるタイムロスよりもトライアンドエラーを重視する。ビジネスパートナーとしても、そのような事業者と協業していきたいという。
現在は、自社のバランスシートの建て直しが目下の課題とのこと。日々着実に結果を出し次のステージを目指す。追い風は、新株予約権の発行・行使により68億円を獲得したことだ。大規模な資金調達の成功により、もう一度チャンスを得たと捉えている。
大阪に生まれ育った平岡氏は、「米国から帰国した時、かつて大阪で力を持っていた人や会社は東京へ行ってしまっていた。こんなに東京と差が付いたのだと寂しい思いをしました」と話す。
同社がモデルとするのは北浜銀行だ。明治の時代、商いの町・大阪を拠点に企業を大きく飛躍させ、現在の阪急電鉄や近畿日本鉄道、大林組をはじめガス・電気事業といった国益関連事業などにも貢献した。同行のごとく、使命を新たに大阪一の金融街に本社を移転、社名に「北浜」の地名を入れた。
「次の大阪を創っていきたい」という平岡氏は大阪の魅力を次のように語る。
「ビジネス上手だと思う。名だたる企業の経営者も関西出身が多い。先見性とコミュニケーション能力に長け、俊敏かつ堅実にビジネスができる」
大阪を核に、関西一円が個性的なリソースを生かし発展していくとみている。支援企業と共に拓く革新的な時代の幕開けに期待は膨らむばかりだ。
会社概要 設 立 1992年9月 資 本 金 44億2,175万3,669円(2024年3月現在) 売 上 高 2億3,400万円(2024年3月期) 本 社 大阪市中央区 事業内容 投資事業、ソリューション事業 https://kitahamabank.co.jp/ |