経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

 生成AIの専門性を磨き躍進する日本初のスタートアップ 森重真純 Galirage

Galirage 代表取締役CEO もりしげ ますみ 森重真純

森重CEOは、慶應義塾大学に在学中、フリーランスエンジニアとして約50件のシステム開発などを行い、大学院を修了後、日本IBMへ入社した。その後Galirageを創業し、約1年半で70社以上(うちプライム上場企業18社)の支援を行っている。(雑誌『経済界』2025年5月号「注目企業」特集より)

Galirage 代表取締役CEO もりしげ ますみ 森重真純
Galirage 代表取締役CEO もりしげ ますみ 森重真純

「企業のAIネイティブ化」でウェルビーイング向上を実現

「AIネイティブ化」とは、「AIを使いこなしている状態にする」という意味を持つ。生まれてから英語を話している人を「英語をネイティブに話せる人」と表現するのと同じ意味合いである。そして、Galirageは企業のAIネイティブ化というテーマを掲げて、本気で「社会の公器」になろうとしている。

最初の一歩として、同社は大手企業を対象に、AIネイティブ化の支援をしている。大手企業は社員数が多く、生成AIによる業務効率化の投資対効果が高いからだ。

創業から1年半という短期間で多くの大手企業を支援できた理由について、「生成AIの領域は技術動向の変動が激しいため、スタートアップとしての柔軟性と迅速性との相性が良い点と、生成AIに特化して専門性を磨いている点が、急成長の背景にあります」と森重CEOは話す。

また、生成AIへの経営哲学もユニークだ。

「経営的な視点に立つと、生成AIは業務効率化によるコストカットにおいて大きな武器になります。一方、どれだけの時間を効率化できるかという視点だけに盲信してしまうのはもったいないです。社員のやりたくない仕事を自動化し、社員がやりたい仕事に集中できる環境をつくることも意義のある投資だと考えています。このように、生成AIを社員のウェルビーイング向上にも活用することで、離職率の低下や創造的な事業活動につながります」

「AIネイティブな企業」が当たり前の時代が到来する

AIネイティブな企業であることが当たり前の時代になるまでには、まだ時間がかかる。多くの企業は何かしらの生成AIへの投資に取り組んでいるが、同社が支援している大手企業のように1年以上前から投資を始め、効果を実感している企業はまだ多くない。

しかし、それでも油断してこの波に乗れないと競争力を失い、淘汰されていく。競合他社がどんどん生成AIで既存業務を自動化し、人件費を削減し、商品やサービスの価格を下げていった時に生き残れるかを想像すれば、難しい話ではない。PL的な観点からもAIネイティブな企業に変革させない理由はない。

さらに、これからは採用面でもAIネイティブな企業が圧倒的に有利になると森重CEOは確信している。

「今の大学生と話すと、生成AIを使うことが当たり前になり出していると実感できます。この点、日本の未来は明るいです。一方、そのような学生が社会人になり、非AIネイティブな会社に入社したシーンを想像してみてください。入社早々、AIを使えば5分でできると知っている業務を、コストやセキュリティの関係でAIツールを使わずに手作業で行うように指示をされました。この業務に4時間も真面目に取り組んだその新卒社員は、モチベーションを大きく損ね、離職を考える可能性が高いでしょう」

これからの時代はAIネイティブな企業であることを発信していかないと、優秀な人材の採用は難しく、競合他社に流れてしまう。重要な経営課題であると認識する必要があるのだ。

本質的なミッションはビジネスパーソンの創造性の解放

Galirage 代表取締役CEO もりしげ ますみ 森重真純
Galirage 代表取締役CEO もりしげ ますみ 森重真純

森重CEOは、同社の本質的なミッションは「ビジネスパーソンの創造性の解放」だと話す。

Galirageという社名には、「次世代のガリレオが集まり、自分らしく活躍できるガレージになる」という意味が込められている。

「ものづくりが好きなクリエイターが集まって、創造的な活動をするコミュニティでありたいという想いから創業しました。私自身も、週末にはプログラミングでものづくりをしてしまうほど、生粋のクリエイターです。そして、皆で最初に取り掛かった創造的な活動のテーマが時間的貧困の解消(時間的余力の創出)でした。現代のビジネスパーソンは、あまりにも多忙過ぎます。社会をよりよくする上でも、自分たちが創造性を発揮し続けるためにも、このテーマが最優先のイシューでした。創造性を解放する上で、時間的余力と心理的余力は必須の材料です」

では、余力だけで創造性は解放されるのか。森重CEOはこう考える。

「余力だけでイノベーションは生まれません。その次に必要な要素は教育と環境です。リスキリングを通して、創造性を解放するための手法論や自分のユニークな武器を身に付けます。最後に、そういった創造性が解放されたビジネスパーソン同士が交流できる環境が整えば、イノベーションは自然と生まれてきます。余力創出が実現した先のビジョンとして、お客さまの中でイノベーションが生まれていくための支援も今後実現していこうと考えています。このようなアプローチで、世界を牽引するようなイノベーションを日本から生み出し、未来の子どもたちにとって明るい未来を実現していきます」 

会社概要
設立 2023年5月
資本金 1,000万円
売上高 2億4,000万円
本社 神奈川県川崎市川崎区
従業員数 10人
事業内容 生成AIに特化したシステム開発・コンサルティング・研修支援事業
https://galirage.com/