「ビシャモン」ブランド 自動車整備工場や物流、環境、介護などの現場で活躍している産業用リフトメーカーのスギヤス。「ビシャモン」ブランドはテレビCMでお馴染みだが海外にも販路は広がっている。一方、経営においては社員とその家族の幸福を第一とするのが杉浦安俊氏のモットーだ。(雑誌『経済界』2025年11月号より)
杉浦安俊 スギヤスのプロフィール

自動車整備用リフトをはじめとして、運搬・作業改善用リフトやゴミ圧縮・破砕集じん機器、介護用リフトなどの製造販売で高い信頼と実績を持つスギヤス。一般消費者向けの商品ではないが、テレビCMの効果もあり、地元での「ビシャモン」ブランドの認知度は高い。
同社を率いるのは、2011年に社長に就任した杉浦安俊氏だ。実父(現会長)から経営を引き継いだ形だが、当初、本人は入社するつもりがなかったという。
杉浦社長は、米国のLos Angeles Harbor Collegeへ留学中に、当時話題だったトレーディングカードビジネスの将来性に魅力を感じて、帰国後の1993年に浜松駅前でカードショップを開店させた。世の中の変化を敏感に理解する先見性、そして「これは商売になるな」と思い付いたら、すぐに実行に移す行動力は、今の経営にも生かされている。
例えば、BtoB企業では珍しいテレビCMであるが、これは単なる商品の宣伝やブランディングという観点ではないという。
「基本的には、社員やその家族の皆さんのためかもしれないですね。特に社員の子どもたちに当社を知ってもらうことで、家族の会話が増えればいいと思っています。レギュラー番組ほか、年末の特番などへCM提供を行っています」
昨今、企業にとっては採用を増やしたくても採れないという事情がある。特に中部圏は、トヨタ自動車をはじめとする大企業がひしめき合っているような状況だ。
そんな中、同社ではある思いを持って、若い人材を積極的に採用しているという。
「若い社員に対しては、しっかりとした社会人に育てていくという意識を持って接しています。やる気があればその発想を生かして、どんどん活躍してもらっています。失敗しても、いい経験になります」
企業が成長するためには人材育成が重要だ。杉浦社長は「人材の育成や評価は難しいですが、当社は〝社員は家族〟という考え方を大事にしています。だから最低限、社員の経歴や家族構成、名前などは覚えるようにしています」と語る。
| 創 業 | 1949年 |
|---|---|
| 資 本 金 | 8,800万円 |
| 営業収益 | 119億円(2024年3月期) |
| 本 社 | 愛知県高浜市 |
| 従業員数 | 340人 |
| 事業内容 | 自動車整備用リフト、運搬・作業改善用リフト、ゴミ圧縮・破砕集じん機器、介護用リフトなどの製造販売 https://bishamon.co.jp |

