ディスプレイや空間デザイン、リテール広告などを手掛けるLMIグループは永井俊輔社長と共同創業者・望田竜太副社長の2人が主導するスタートアップ。永井氏が父から事業承継した看板制作会社を母体とし、コロナ禍の苦境を経た後に急成長を遂げ、業界に旋風を巻き起こしつつある。(雑誌『経済界』2025年12月号より)
望田竜太 LMIグループのプロフィール

永井氏と望田氏は高校時代から親友で、共に早稲田大学に進学。卒業後、永井氏は大手ベンチャーキャピタル、望田氏は日系投信銀行にてPEファンド、その後、大手コンサルティングファームへと別々の道を歩んだが、永井氏が父の会社を承継すると、望田氏もコンサルの経歴を生かして経営をサポートするようになった。すると会社の規模は急拡大。M&Aで子会社を増やし、最盛期の売上高は承継時の4倍、40億円を超えた。
望田氏は「永井さんは普通の人では思いつかない発想でどんどん進めていく変革者で、私の役割はその後のPDCAを回す体制と仕組みづくり。共同創業者として、とてもうまく噛み合っています」と話す。
しかし、順風満帆な経営はコロナ禍に入り暗転。店舗から客足は途絶え、リテール向けのディスプレイや空間デザインの仕事は激減した。
「資金繰りは本当に厳しく、心が折れそうでした。国のセーフティーネットや補助金、外部融資による資本増強などで何とか凌ぎました。成長を取り戻すために事業整理を行い、選択と集中に踏み切りました」
苦しい中、空間デザインの強化に活路を見いだす。斬新なコンセプトを提案し、外食、コスメ、アパレル、ポップアップストアなどで培ったノウハウを横展開することで、業績は徐々に回復した。空間の評価はAIカメラを用いて、視認性や人流の効果を検証するなど、取得したデータに基づいて行った。
さらにリテール広告にも参入し、消費者の購買意欲を高めるリワードの提供を開始した。大手外食チェーンにも採用されるなど、事業の柱になりつつある。
「コロナ禍による変革はまさに『第二の創業期』と呼べるものでした。コロナ禍前はIPOを目指していましたが、今は一旦立ち止まり、自作の経営フレームワークを駆使して全社戦略を1から見直しています。これからは生成AIの導入も必須で、業務改善と事業創造の両方に役立てるつもりです。人事評価制度も改めました。現在従業員は約60人ですが、年間純増で10人、売上高は数年後には約2倍の50億円、次に100億円規模を目指しています」
| 設立 | 2019年8月 |
|---|---|
| 資本金 | 1,000万円 |
| 本社 | 東京都港区 |
| 従業員数 | 60人 |
| 事業内容 | インストアマーケティングソリューション事業、リテールメディア事業 https://www.lmig.co.jp/ |
