“ものづくり”への原点回帰を掲げ、「闘う天昇電気」のスローガンの下、日々、挑戦し続けている。成長の原点には独自の技術力がある。
円安や“脱中国”の余波もあり、日本の製造業が久々に活気を取り戻している。家電や自動車部品関連企業向けに合成樹脂成形加工品を製造販売している天昇電気工業もその恩恵を受けた形で2016年3月期は増収増益が確実となり、次年度以降もさらなる好決算を見込める状況だ。
12年に三井物産から同社に転じた石川忠彦社長にとって、当初は主要顧客だった“シャープショック”に揺れ、厳しい環境だった。しかし、為替などの外的要因で自動車業界をはじめとする製造業が復活し「今は国内5工場がフル稼働に近い状態です。特に好調なのは自動車業界向けですが、当社はほとんどの自動車メーカー・部品会社のティア1かティア2に指定されているので直取引ができることが強みです。厳しい時代を乗り越えてきたので、どんなに競争がきつくなっても勝てる自信があります」と語る。
現在、最も期待しているのは樹脂成形品の表面を華飾して外観のデザイン性を高める部門であるが「特殊成形用金型、塗装、フィルム貼りと、3つの華飾技術を持っているのは当社だけです。既に引き合いも多く将来性が高いので、思い切った設備投資に踏み切りました」(石川氏)。
独自ブランド製品としては医療用廃棄物容器や、ゲリラ豪雨対策で需要が急拡大した雨水貯留浸透資材の製品も好調だ。
今年、創業80周年を迎えるが石川社長は「創業者の菊地五郎氏は自社の電気製品で社会を席巻したいという夢を持っていましたが、その夢を引き継いで将来は自社ブランドのヒット商品を出したいですね」と語る。
天昇電気工業株式会社
- 設立/1936年
- 資本金/12億800万円
- 売上高/142億1600万円(15年3月期)
- 従業員数/500人(連結)
- 事業内容/プラスチック成形加工
- 会社ホームページ/http://www.tensho-plastic.co.jp/