マンション管理のクラウドアプリ開発を皮切りに、住環境に紐づくプラットフォーマーを目指すゴールドキーカンパニーリミテッド。入居者や管理会社の双方にメリットの大きなサービスや事業を次々と展開し、急成長を遂げている。(『経済界』2020年4月号より転載)
クラウドアプリの利用で管理業務を大幅に効率化
マンションの掲示板に所狭しと貼られた大量の掲示物。チラシ類があふれんばかりに投函される郵便受けに、満杯になっているゴミ箱。集合住宅のエントランスではありがちな光景だが、住宅の規模が大きくなればなるほど管理の手間とコストは増え、美観も損なわれる。新たな入居者を呼び込む際に、内見者にネガティブな印象を与えることにもなりかねない。
こうした悩みを一挙に解決するのが、ゴールドキーカンパニーリミテッドが開発したクラウドアプリ「app-me! Cloud」だ。
「入居者にアプリをダウンロードしてもらうことで、エレベーター点検や消防点検などの案内や各種お知らせなどをアプリ画面に表示でき、ごみカレンダーなども常に最新の状態で配信されます。チャット機能も付いており、入居者同士のトラブルや苦情など個別のやりとりも効率よく対応できるようになります」
そう話すのは、木全雅仁代表取締役。ITの活用でマンションの遠隔管理を可能にし、管理業務のありとあらゆる手間とコストを大幅に削減する。管理物件の数が多ければ多いほど、距離が離れていれば離れているほど、遠隔管理の効果は計り知れないものがある。
入居者はアプリを無料で利用でき、多彩なサービスを受けることが可能だ。入居時にどさっと手渡される分厚い設備仕様書の数々がすべてアプリ内にまとめられ、いつでも閲覧できる。グルメや美容、病院、ショッピングといった地域の情報も常にアップデートされた状態で検索が可能。
さらに「ビューン@」を提供するビューン社と提携しており、14種類の週刊・月刊誌、約1万冊のマンガが無料で読み放題。また全国の専門業者との連携により、鍵開け・交換・修理や家具の組み立て、キッチンクリーニングやペットの葬儀など140以上もの暮らしの困り事に対応するサービス「生活110番」も利用できる。
「困り事を選んで電話をかけていただくと、自宅から一番近い専門業者に自動的につながるようになっています。わざわざ業者を検索する手間を省くことができますし、さまざまな生活シーンで重宝しますよ」
アプリから広がる多種多様なサービス
冒頭に紹介した郵便受けに投函された大量のチラシ類やごみ箱については、かねてから無駄が多いと感じていたという木全代表。
「大量にポスティングをしても多くの人は廃棄するため、効率が良くありません。広告費や人件費も無駄になるばかりか、入居者や管理会社の手間も増えてしまいます。その点、『app-me! Cloud』は、家族構成等の情報を元に需要のある入居者に対してピンポイントで、アプリ上に広告を提供することも可能です」
印刷コストもポスティングの人件費も不要になり、広告主、入居者、管理会社にメリットが生まれる。また、現状では大量の不要なチラシ類に重要な書類がまぎれていても、気付かずにまとめて廃棄してしまうというケースもある。
「よくあるのが火災保険の更新書類。廃棄してしまったことに気付かず、そのまま更新ができていないという人が意外に多い。そこで保険会社と連携して、火災保険等の更新もアプリ画面で通知できる取り組みも始めました」
このアプリ一つで展開できるサービスは、まさに無限の広がりを見せると話す木全代表。目指しているのは、住環境に紐づくプラットフォームの構築。現在は賃貸マンションをメーンにしているが、分譲マンションや戸建て、オフィスビルにも展開し、将来的にはセンサー技術を用いた見守りを可能にするサービスなど、IoTを活用した事業展開も想定している。
「IoT事業については、レンタルスペースの省人化を可能にする『GecKo』というサービスを既にスタートしています。予約時間になると自動で鍵が開き、照明やエアコン、プロジェクター等の電源が入り、フロアが利用可能になるものです。東京・代々木のレンタルスペースは無人で運営しています」
現在、「app-me! Cloud」の利用者数は約30万人。この1年で100万人まで伸ばすことを目標に掲げている。空室の増加や遠隔管理に手間のかかる地方ほど需要は高く、「リクエストがあれば、全国どこでも伺います」と熱意を見せる木全代表。将来的な展望としてアジア市場への進出も視野に入れる。
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会社概要
設立 2012年6月
所在地 愛知県名古屋市
事業内容 マンション管理アプリ企画開発、IoTプラットフォーム開発運営
https://goldkey.co.jp/
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