経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

伝統と革新を共存させた「かやくごはん」となり大阪に活気を取り戻す―通天閣観光

「演芸の町」から「串カツの町」へ、時代とともに変化を遂げながらもノスタルジックな大阪らしさを残す新世界。そのシンボルとして親しまれる通天閣が目指すのは、新旧が混ざり合う「かやくごはん」だという。

通天閣観光会長 西上雅章(にしがみ・まさあき)

 初代から数えると109年の歴史を持つ通天閣。「のれんが古い」と自負を持つ一方で「伝統はイノベーションの積み重ね」と話す西上雅章会長。「日本一高い塔になることはできないが、日本一面白い塔にしたい」と若手社員の声も積極的に取り入れ、さまざまな企画に挑戦し続けている。2020年10月にはボーカロイド「初音ミク」とのコラボレーション「通天ミク」を展開。「光の展望台」を初音ミクの楽曲と光で演出し、オリジナルグッズの販売で来場者を楽しませた。

 そんな通天閣にとっても、新型コロナウイルス感染症の拡大はカウンターパンチとなった。年間100万人に及ぶ国内外からの来客数はコロナ禍で8割減に。現在は徐々に客足が戻りつつあるものの、依然2~3割程度に留まっている。しかし「通天閣が休業すれば周囲の商店の景気も冷え込む」と自粛期間中も営業を継続した。

 東京で緊急事態宣言が発令された4月には、観光客の減少で打撃を受けた大阪府内の土産物店から賞味期限の近い商品を買い取り、通天閣の地下で安価に販売して事業者の支援を行った。また、府知事の要請に応じて「大阪モデル」を色で周知するライトアップを実施するなど、新世界の町、人、経済を支えてきた。

 西上会長は「コロナ禍を通して、あらためて通天閣の存在意義を感じました。通天閣と新世界が生まれた第一義は、庶民の憩いの場であること。時代に応じて変化してきましたが、庶民ファーストの目線を忘れなければこれからも大丈夫でしょう」と力強く語る。さらに「万博を契機に大阪には新たな技術革新が生まれるのではないでしょうか。関西がワンチームとなり、教育や医療の活力を取り戻してほしい」と25年大阪・関西万博に期待を寄せる。

 15年には、長年の悲願であったエントランスの天井画が復刻。今後は、かつて行われていたという頂上のサーチライトを復活させたいと意気込む西上会長。昭和のノスタルジックを大切にしながらも「新世界も通天閣も、いろんな具材が入った『かやくごはん』でいい」と、斬新なアトラクションやコラボレーションを構想中だ。

会社概要
設立 1955年7月
資本金 1億500万円
所在地 大阪市浪速区
従業員数 20人
事業内容 2代目通天閣の運営
https://www.tsutenkaku.co.jp/

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