経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

ギグワークをもっと自由で多様に 労働市場をフェアにする挑戦―ギグワークス


「ギグ」とはもともと、ライブハウスで1度限り行われるライブ演奏を指す言葉だ。転じて現在は、インターネットを仲介してつながる単発の仕事を表すようになった。ギグワークスはギグエコノミーのプラットフォーム企業として25年もの間、さまざまな業種で依頼主企業と働き手のマッチングサービスを提供してきた。コロナ禍で仕事を失う人が増え、副業解禁の流れも追い風となり、単発で仕事を請けたい人のニーズが急増している。

ギグワークス社長 村田峰人(むらた・みねと)

副業とコロナ禍で単発仕事とシェアオフィスの需要が急増

 2019年に社名を変更したギグワークス。ギグワーカーやギグエコノミーという言葉も10年前に比べてだいぶ世の中へ浸透してきた。

 「さまざまな働き方が許容される世の中になり、ギグで働く人々が近年急速に増えました。時代が当社のビジネスモデルにマッチしてきたのだと思います」と社長の村田峰人氏は語る。

 グループ会社は大きく分けて3社あり、提供しているサービスはIT分野を中心にPCの設置代行、コールセンター請け負い、店頭販売支援、テクニカルサポート、システム開発、モバイル通信用の5Gアンテナ設置代行など多岐にわたる。グループ合計で、常時1千社以上から問い合わせがあるというから驚きだ。

 20年秋には「GiGWorks Basic(ギグワークスベーシック)」という新たなプラットフォームをリリース。依頼主と働き手をオンラインでマッチングするサービスだ。IT関連を皮切りに、さまざまな業種に対応していく予定だという。

 法人向けに展開するシェアオフィスサービスでは顧客層に変化の兆しが見えたという。これまで中心的な顧客は個人事業主だった。しかし、コロナ禍以降は会社員の利用が急増することが予測される。平均的な日本家庭の住環境では仕事に集中しづらく、シェアオフィスへ出勤するニーズが生まれたのだ。

 20年末からは法人向け多拠点サテライト「スマートオフィス」のサービスを開始した。単なるコワーキングスペースではなく、オプションで会議室や電話秘書サービスを使える。また、声が漏れないよう壁厚を13センチメートルの防音仕様にした特別ブースでテレビ会議を行うこともできる。ワシントンホテルなどを展開する藤田観光と業務提携しており、全国に約80拠点を展開している。

 「どこでも自分のオフィスとして使える環境を整えていきたい」と村田氏は息巻く。コロナ禍以降は顕著に契約件数が伸びているという。

 「GiGWorks Basic」はオンラインでの出会いを、「スマートオフィス」はリアルの出会いをつなげるサービスというわけだ。

始まりはパソコンの家庭教師 ADSLの設置代行で躍進

 かつてのギグワークスは、社名にギグと付いた会社ではなかった。1996年、「マイクロソフト ウィンドウズ95」が発売されたまさに翌年、前身の会社の代表がパソコンの家庭教師事業を始めた。町の電気屋さんや学生時代の仲間などを集めてパソコン教師として派遣したのだが、特徴的だったのは「直接雇用しなかった」こと。これが現在の「ギグ」につながっている。

 やがて時代はADSLサービスの普及期に突入していく。一般家庭でモデム接続の開通作業を代行する業務を請け負うことで事業が急拡大し、2003年にはマザーズ上場を果たした。

 「それ以降、新しいテクノロジーが登場するたびに企業からお声掛けいただくようになりました。企業の要求と、積み重ねた派遣者のデータベースを結ぶことで、事業を拡大していったのです」
自身もフリーランスの経験がある村田氏が、日本社会の課題だと強く感じているのが、「労働市場の活性化」だという。

 かつて「量販店で店頭販売を頑張っていたら同僚から注意を受けた」のだという。頑張る人間がいると、頑張っていない人間が目立つ。頑張っても頑張らなくてもアルバイトは時給が同じなのだから、頑張るな、と。

 「こんなネガティブな連帯感を続けていては日本社会がおかしくなってしまう。一生懸命汗を流した人間が報われないと労働意欲を削いでしまいます。多く販売できた人には相応の報酬を与えたい。これが、事業にかける想いの原点です」

 例えば大雪が降る大変な中での宅配業務は、供給側は少ないのに需要側は増えるため、本来は報酬が高くなければならない。「変動相場による明確な市場を創造し、頑張った人が報われる社会にしたい」と村田氏は考えているのだ。

 「これからは成果で評価されるジョブ型雇用が世の中の主流になります。その中で明確な相場感を示すことができれば、働く人たちから『フェアな報酬をもらえる企業』だと認識されるはずだ。働く人々がもっと自由に仕事を得ることができ、適正に評価される未来を創造したいです」

 村田氏も自身はギグワーカーだと思っているそうだ。経営者は常に株式市場からの評価の対象であり、1年ごとのプロジェクトを積み重ねている感覚があるからなのだとか。

 順調に成長を遂げるギグワークス。原動力は「個の意欲と成長を生かす労働市場改革」にある。これからの日本の働き方を占う上でも、目を離せない企業だ。

会社概要
設立 1977年1月
資本金 10億4,500万円
売上高 197億7,000万円(2020年10月期)
所在地 東京都港区
従業員数 922人
事業内容 IT支援サービス、レンタルオフィスやコールセンター運用、販売支援、人材派遣など
https://www.gig.co.jp/

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