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「成長の種は蒔いた」2期連続の減益決算も次の増収増益をコミット 藤田 晋 サイバーエージェント

サイバーエージェント 社長 藤田 晋

(雑誌『経済界』総力特集「注目企業2024」2024年5月号より)

サイバーエージェント 社長 藤田 晋
サイバーエージェント 社長 藤田 晋 ふじた すすむ

サイバーエージェントが産声を上げたのは1998年3月18日。先日創業26年を迎えた。この間、初年度の98年9月期から、前期2023年9月まで、毎年売上高を伸ばし続けている。初年度2千万円だった売り上げは、前期7202億円、3万6千倍に達した。

気になるのは利益水準だ。前9月期の営業利益は245億円。2期連続の減益で、ピークの21年9月期の4分の1でしかない。しかもメディア事業、広告事業、ゲーム事業の全ての領域で、赤字もしくは減益となっている。

このうちメディア事業は、ABEMAで全試合放送したサッカーワールドカップの大型投資があったため赤字も仕方ない。ゲーム事業も大ヒットした「ウマ娘プリティーダービー」の反動による減益は理解できる。問題は、祖業である広告事業でも減益になったことだ。

その理由を藤田晋社長は「調子のいい時に次の成長の種を仕込む」と語る。ABEMAも種の一つだが、広告事業でもDXやAIなど今後成長が期待できる分野に積極投資をしてきた。そのため減益になったというのだ。

そして藤田社長はこれらの事業がこれから収穫期を迎えるとした上で、「23年を底に増収増益をコミットする」と宣言した。

実際、1月末に発表された今期第1四半期決算は、前年同期の13億円の営業赤字から62億円の黒字へと大幅改善。赤字続きだったメディア事業の赤字額も9億円にまで縮小した。「想定よりいいスタートを切った」と藤田社長。今後の成長に自信たっぷりだ。