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電機黒字化に自信を見せる 平井ソニーの次の一手

ニュースレポート

ソニーが上げ潮ムードに乗っている。ここに来て平井一夫社長が進めてきた改革の成果が表れた格好だ。エレクトロニクス事業の黒字化を今期の目標としているが、インタビューに応じた平井社長はその手ごたえを語った。

ソニーらしさの復活が業績を後押し

平井一夫・ソニー社長

平井一夫・ソニー社長

 エレクトロニクス事業の再生を掲げて、平井一夫氏がソニーの社長に就任し2年目となる今年、目に見える形での結果が出始めている。まず業績が回復基調で推移。3年にわたって赤字だったテレビ部門は2013年第1四半期に黒字に転じた。続く第2四半期は赤字となったものの、前年同期からの赤字幅は縮小し、回復に向けた流れは継続している。

 ソニーではエレクトロニクス事業の今期の黒字化を当面の最大の目標に定めている。第2四半期における13年度通期予想では、売り上げ・利益ともに下方修正し、数字だけを見ると第2四半期でややスローダウンした感がある。しかし、現在のところ改革は順調に来ているとし、黒字化に向けた強気の姿勢は崩していない。

 こうした流れをつくっているのは、「ソニーらしい商品」の存在だ。平井社長が掲げた「One Sony」の下に、各事業部が持っている最新技術を持ち寄り、融合させて商品開発を進めている。平井社長は、こうして開発した商品が計画どおりに市場投入できていることにソニー回復の手応えを感じているという。

 その典型的な製品が、「ソニーの総合力を結集」し、カメラ機能を高めたハイスペックのスマートフォン「Xperia Z」および最新機種「Xperia Z1」だ。NTTドコモの販売戦略とも相まって、国産スマートフォンとしては1つのブランドになりつつある。Xperiaのスマートフォン事業が回復の牽引役の1つになっている。ソニーとしては、スマートフォンで、当面は韓国サムスン電子、米アップルに次ぐ、ナンバースリーのポジションを確実に取っていく方針。

 もう1つソニーらしい商品展開として平井社長が挙げたのが、4Kテレビだ。テレビ事業はこれまで出血を止めることに専念し、どちらかというと守りの戦略だったが、今年からは攻めに転じる。その柱の1つが4Kテレビであり、ソニーらしさを打ち出した展開として、エンターテインメントとの融合がある。4Kテレビは、高精細な画質を表示できるが、4Kのコンテンツが少なく、2K(ハイビジョン)映像を4K画質に画像変換して視聴するケースがほとんどだ。そこでソニーでは米国で先行する展開として、ソニーピクチャーズエンターテインメントのネイティブ4Kの映画コンテンツを活用し、4Kコンテンツをプリインストールしたセットトップボックスを組み合わせて提供している。

 平井社長は「こうした展開ができるのはソニーだけ」と自信を見せる。

 エンターテインメント事業については、大株主のヘッジファンドであるサード・ポイントから分割上場するように提案があり、それをソニー側が拒否した経緯がある。仮にサードポイントの提案どおりに分割上場し、少数株主がエンターテインメント事業の経営に加わると、ソニー以外のテレビメーカーとの提携にメリットがあると判断される可能性もある。そうなると、現在進めているような、4Kテレビとセットトップボックスを組み合わせた展開ができなくなる事態も起こり得る。

 こうしたことを踏まえて、ソニーグループとしてはエンターテインメント事業を戦略上重要不可欠なビジネスと考えている。将来に向けてのソニーグループの重要な原動力と位置付け、今後も100%保有することで、スピーディーな経営判断を実行していくという。

海外展開に不安材料も製品開発に活路

 回復基調にはあるが、13年度通期予想を下方修正したように、エレクトロニクスをはじめソニーの事業環境は厳しい。

 スマートフォンにしてもワールドワイドでの市場は拡大し続け、今後の成長が期待できるが、ソニーとしてもシェア拡大は容易ではない。特にシェア3位を目指す上では、米国、中国市場への展開が鍵となる。両市場は今後の柱の1つになり得る市場だが、ソニーとしてはまだそこまで手が回っていないのが現状だ。モバイル事業では現在2位の日本市場および3位の欧州市場におけるシェアの堅持・拡大を最優先事項とし、経営資源を投入している。米国は既にT-mobileにXperia Zを供給しているが、徐々に展開している状況。中国はいまだ検討の段階だという。

 「すべてを一度にやるのは現実的ではなく、段階的に市場を一つずつ確実にとらえていくというスタンス」で臨む。強い市場での足場をいかに早く固めて、成長市場へリソースを転嫁できるかが鍵となる。

 また、新たな課題として新興国の為替の問題がある。業績の回復に伴い新興国のビジネスの比率が上がっている一方で、新興国通貨のバランスが崩れてきている。場合によってはビジネスにマイナスに効いてくる可能性があるという。こうした外的要因を課題の1つと認識しているが、ソニーのコントロールの及ばない部分でもある。

 こうした現状の打開に向けて、ソニーでコントロールできる部分として、平井社長は構造改革のさらなる推進とソニーらしい製品の開発を挙げた。

 「構造改革については、社長に就任してからさまざまな形で続けていますし、コストの削減は各事業部のプライオリティーとして今でも進めています。そして厳しい環境だからこそ、お客さまに『これはソニーらしい商品だよね』『これって面白いよね』と言っていただける商品を積極的に開発していくことが重要です。社内でリスクをとって、面白い、ソニーらしい商品が市場に出てくる環境を組織的には作りました。各事業部から面白いものが出てきて、タイムリーに市場に投入されていくという流れは、もっとスピードアップできると思っています」

 平井社長の改革はこれから正念場を迎える。

(本誌/村田晋一郎)

 
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