セキュリティベンダーとして35年の歴史を持ち、提供するセキュリティプロダクト・サービス「LANSCOPE(ランスコープ)」は累計3万社超(※)に導入されているエムオーテックス(MOTEX)。2026年度施行予定の「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度 」への対応支援で、コンサル事業も急成長だ。(※エムオーテックス調べ)(雑誌『経済界』2026年3月号より)
徳毛博幸 エムオーテックスのプロフィール
とくも・ひろゆき
エンドポイント対策製品を中心とした実績とサポート力
大企業を狙ったサイバー攻撃が相次ぎランサムウェアによるシステム障害や情報漏洩は、他人事ではない。同社は国産のセキュリティベンダーとして存在感を高めている。エンドポイント管理市場でシェアNo.1(※1)を誇る「LANSCOPE エンドポイントマネージャー」は、PC・スマホの端末情報やログ取得によるIT資産管理や情報漏洩対策、またAI活用したマルウェア対策を支援する。高い継続率(9割)の背景には、手厚いユーザーサポートがある。
「売って終わりではなく、使って効果が出るまでご支援するのがわれわれのモットーです」。社長の徳毛博幸氏はそう語る。導入時のオンボーディング支援から、運用開始後の定期フォロー、電話・メール・チャットによる問い合わせ対応まで、全て自社のカスタマーサポート・サクセス部門で対応している。
最も長い製品ユーザーは28年にわたり利用を継続しているという。顧客満足度調査での選出や、他のLANSCOPE製品を含め、法人向けIT製品・SaaSのレビュープラットフォーム「ITreview」において6部門でLeaderを獲得(※2)するなど、製品機能とサポートの両面で高い評価を得ている。
全産業対象の経産省新制度の開始が目前に
同社がいま注力するのがコンサル事業だ。背景には、2026年下期開始予定の「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(仮称)」がある。経産省が進めるこの制度は、サプライチェーンのサイバーセキュリティ達成度を分かりやすく評価・可視化する仕組みだ。企業のセキュリティ対策状況を「星1~星5」までの段階で評価し、発注者は受注者の対策状況を確認した上で取り引きできる。
「近年、サプライチェーンを経由したインシデントの波及リスクが増え、取引先へのセキュリティ監査が一般化します。しかし、各社独自のチェックにより基準の不統一で取引先の回答負担が課題です。こうした状況を受け、国主導のもと共通指標を整備し、効率的かつ客観的なセキュリティ評価を行えるよう標準化が進められています。星3が最低限求められるレベル、星4が目指すべき姿、星5は重要インフラ事業者向け。企業規模に関わらず、基本的に星4を目指すことが望ましいとされます」
こうした標準化の動きは、自動車業界で先行していて、同社は早い段階から自動車業界への豊富な支援実績を持つ。
80人以上の国家資格保有者による支援体制
同社がこの新制度への対応支援として提供する「ガイドライン対応サポートアカデミー」は、9カ月・45万円(※3)の導入しやすいコンサルティングパッケージだ。動画による学習、社内規定のひな型提供、コンサルタントによるアドバイスを通じて、企業の自立的で継続的なセキュリティ体制構築と運用を支援する。すでに100契約以上の利用があり、直近数カ月で300件以上の問い合わせがあるなど、来年度の制度開始に向けて引き合いが急増している。
同サービスを支える同社の強みは、専門人材だ。同社には80名以上の有資格者が在籍しており、専門性の高い支援が可能となっているのだ。
「製品愛」が競争力の源泉に
同社は自社製品を企画・開発し、先行投資で機能を磨き上げていくメーカーである。
「SIer出身の私がMOTEXに入社して驚いたのは、社員の製品愛の強さです。開発や営業だけでなく、サポートメンバーも製品への愛着が強い。だからこそお客様にしっかり使ってほしい思いで丁寧にフォローし、それが継続率の高さにもつながっています」と語る。
さらに同社は、社会貢献にも注力している。難解なセキュリティを、イラストとクイズで分かりやすく解説する「セキュリティブック」を発行し、10年前から無償提供している。近々最新版を公開する予定だ。セキュリティ啓発・社員教育コンテンツを含む「NO MORE 情報漏洩 2050」プロジェクトでは、SNSやブログを通じて、幅広い人にセキュリティをもっと身近に捉えてもらえるよう、「共創」型で啓発活動を展開している。
国産セキュリティベンダーNo.1を目指して
今後の展望を徳毛社長は、「『デジタルセキュリティの課題から、人と社会を解放する。』というコーポレートメッセージを掲げ、国産セキュリティベンダーとして存在感を高めていく」と力強く話した。
セキュリティ製品は欧米、特に米国製が主流だが、地政学リスクや安全保障、国内企業の実務に寄り添う運用面から、国産への期待が高まる。同社は、国内ベンダーと協力し、欧米製品と肩を並べる機能強化・体制強化を進める予定だ。
「セキュリティ対策は今や経営課題です。昨今の事例を見ても、サイバー攻撃で事業停止に陥るリスクは非常に大きい。コストではなく、事業継続のための投資という認識が必要と感じます」と徳毛社長は警鐘を鳴らす。同社は企業の不安や負担に寄り添いつつ制度を背景に事業拡大を見込む。
(※2)ITreview Grid Award 2025 Winter:統合運用管理ツール/MDMツール/IT 資産管理ツール/ログ管理システム/セキュリティソフト/EDR)
(※3)ガイドライン対応サポートアカデミー」の「サイバーセキュリティ対策パッケージ」実践コースでの一例。期間・価格はメニュー・コースによる。
| 設立 | 1990年7月 |
|---|---|
| 資本金 | 2,000万円 |
| 売上高 | 約123億円 |
| 本社 | 大阪市淀川区 |
| 従業員数 | 472人 |
| 事業内容 | サイバーセキュリティに関するプロダクト開発・サービス事業 https://www.motex.co.jp/ |