パソコンやスマホが壊れたら誰に頼む? その答えを届けるのが日本PCサービスだ。全国380拠点で年間42万件に対応している。今期から「デジホ」へブランド統合し、顧客カルテの整備にも着手。知名度10%の壁を越え、デジタル時代の生活インフラ企業を目指す。(雑誌『経済界』2026年3月号より)

家喜信行 日本PCサービスのプロフィール

日本PCサービス 家喜信行 社長
日本PCサービス 社長 家喜信行
いえき・のぶゆき

デジタル機器の「壊れたらドコ?」に応える存在に

 車が止まったらJAF、水回りが詰まったらクラシアン。では、パソコンやスマホが壊れたら? その問いに答えられる人は少ない。「トラブル全般を解決できる会社があること自体、知らない人が多い」と、日本PCサービス社長の家喜信行氏は語る。

 同社は2003年、「パソコンのJAF」を目指して大阪で創業。パソコンが故障したら自宅に駆け付けて修理する。シンプルなコンセプトだったが、時代の変化が事業を拡大させた。ガラケーがスマホに、有線LANがWi-Fiになり、デジタル機器は家庭の隅々に浸透していった。

 「創業当初はパソコン一本でしたが、スマホ、タブレット、ゲーム機など、サポートが必要な機器がどんどん増えたので、対応していきました」

 現在の対応範囲は、パソコン、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、Wi-Fiルーター、スマート家電まで多岐にわたる。年間対応件数は42万件。訪問拠点は全国271カ所、持ち込み店舗は124カ所を数える。会員数は69万人に達し、NEC、富士通ほか提携企業は900を超える。

ワンストップ対応と「5日に1回」の研修

 同社の強みは「ワンストップ対応」だ。パソコンだけ、スマホだけ、訪問だけ、持ち込みだけという会社はほかにもある。だが、全てのデジタル機器に対応し、訪問、持ち込み、電話サポートまでできるのは同社だけだ。

 もう一つの強みが、正社員による対応だ。「他社は派遣型が多い。マニュアルを見て手順通りにやれば解決できる作業を、登録者に振る形式。当社では、対応の7割を直営店の資格を持った正社員が行うため、トラブル解決など柔軟な対応を可能にしている。それらをナレッジ化し、全国に展開しています」。

 独自に「IT整備士協会」を設立し、パソコン整備士、スマートフォン整備士などの資格制度も整備している。さらに、「何級以上でないとこの作業はできない」とルールを設け、品質を担保している。しかも、直営スタッフは5日に1回研修を受ける。内容は、新製品の対応方法から多発しているトラブルの解決策まで多岐に渡る。「全国対応しているからこそ、『最近このトラブルが増えている』というのがリアルタイムで分かります。それらを即座に共有し、全国どのエリアでも同じ品質で対応できるようにしています」。

デジタルカルテを整備し、スマートホーム化の提案へ

 今期、同社は「デジタルホスピタル」、略して「デジホ」ブランドとしての認知向上プロジェクトを始動。「PCホスピタル」「スマホスピタル」として展開するグループのブランド認知向上による事業拡大が目的だ。

 「ホームセキュリティといえばセコムさんが思い浮かぶように、デジタル機器で困ったらデジホと言われるようなブランドにしたい」

 同時に「デジタルカルテ」の整備も進めている。これまで、会員になった利用者の情報は蓄積してきたが、会員になる割合は約10%、残り90%の顧客情報は蓄積されていなかった。

 「病院のカルテと同じで、対応させてもらったら必ずカルテを作る。そうすれば、例えばウィンドウズのサポート終了のとき、該当するお客さまにこちらからご案内できる。今期はこの仕組みを本格稼働します」

 デジタルカルテで蓄積した顧客情報は、新たなサービス提案にも生かされる。その一つが「IoTリフォーム」だ。少子高齢化が進む中、高齢者がベッドから起き上がるのがつらい時、「テレビをつけて」とスマートスピーカーに話しかければ電源が入る。タブレットを押せばカーテンが開く。そんな暮らしを、設定からサポートまで一貫して提供する。

 「大手不動産デベロッパーを中心に、新築マンションでは家まるごとスマートホーム化が進んでいますが、既設住宅や中古物件では簡単に家全体をスマート化させるのは難しい。そこで1万5千円程度でカーテンの自動開閉を可能にするなど、必要なところだけのスマート化を提案しています。もっと手軽にIoTの恩恵を届けたい。さらにデジタルカルテを活用し、新築やリフォームのタイミングで家まるごとのスマートホーム化を提案することも考えています」

 今後は、介護DX、医療DXとの連携も視野に入れる。スマートベッドとかかりつけ医をつなぎ、バイタル情報を自動連携する。そんな未来の実現には、家庭内のネットワーク環境整備が不可欠だ。

 「病院側は準備ができても、家の中に詳しい人がいないと接続も設定もできない。そこを私たちが担っていきます」

 課題は認知度だ。同社が調査したところ、知名度は現在約10%。10人に1人しか知らない計算になる。

 「クラシアンさんがあることで、水道トラブルを解決する会社がたくさんあることは皆さん知っています。デジタル機器の世界には、そういうマーケットリーダーがまだいません」

 スマートロックで家に入れなくなった、オンラインバンキングが使えなくなった、キャッシュレス決済時にスマホが動かなくて支払いができない……。デジタル機器なしでは生活が成り立たない時代になった今、「壊れたらドコ?」への答えを届けることが急務だ。

 「知名度が20%、30%になれば、売上規模も連動する。全国で知られる〝デジタル時代の生活インフラ企業〟を目指していきます」

創業2003年9月(設立2001年9月)
資本金3億6,005万円
売上高68億2,803万円
本社大阪府吹田市
従業員数543人(グループ全体)
事業内容パソコン・スマートフォン等、デジタル機器の総合サポートサービス
https://www.j-pcs.jp/