「お客様の繁栄のため、知恵を出し、汗を流そう」を経営理念に掲げる日建管理。50年以上にわたり、大阪でビルメンテナンスのサービスを提供している。M&Aを契機に事業を整理したことで、高収益化を実現した亀山透社長に、これまでの歩みや今後の展望について聞いた。(雑誌『経済界』2026年3月号より)

亀山 透 日建管理グループのプロフィール

亀山 透 日建管理グループ
日建管理グループ 代表取締役 亀山 透
かめやま・とおる

ビル管理に関する法整備に伴い事業を拡大

 1969年に倉庫会社としてスタートした日建管理。のちにビル清掃業へと転じ、設備管理や環境衛生へと事業を拡大していった。

 「松下電器産業(現パナソニック)の倉庫事業部に勤めていた私の父が、独立して創業しました。倉庫業から清掃業へ事業転換したのは、倉庫業は多くの設備投資を必要としますが、清掃業は設備投資や運転資金があまり必要なく、当時は人手不足の問題もなかったため、ビジネスとして魅を感じたのでしょう。70年にはビルの環境衛生に関する法律ができ、業種分類にビルメンテナンス業が加わりました。ビル管理に関する法定業務が増えてきたことに伴い、ビル清掃を行っていた当社の事業の幅も広がっていきました」

 実は「家業を継ぐつもりは全くなかった」という亀山社長。教師を志し、大学卒業後は母校で講師を務めていたが、義兄から「長男としての運命を受け入れなさい」と説得されて家業に入ることに。その後、同業他社への出向などを経て、40代で父から会社を引き継いだが、社長に就任する前の数年間は、義兄が経営するビルメンテナンス会社で働いたことが貴重な経験になったと振り返る。

 「当時は、ウィンドウズ95が発売され、パソコンの時代へと変わっていく頃。私は義兄の会社でパソコンを導入し、業務改革を行いました。今で言うDXですね。これによって業務の効率化が進み、業績も向上しました。この経験を通して、人の会社なら冷静に、かつ俯瞰して見ることができると気付き、家業を客観的に捉える機会になりました」

 家業に戻った亀山社長は、売り上げの30%、利益の40%を占める大口顧客が、企業再編によって6カ月後になくなる危機に直面する。しかし、その6カ月の間、新規開拓に注力し、ほぼ無傷で乗り切ることができた。

 「それ以前は主となる3社の売り上げに依存し過ぎていました。そのうちの1社がなくなる危機的な状況でしたが、新規開拓が成功し、結果的にリスク分散につながりました。その後の売り上げも順調に伸びていったので、良い転機となりました」

事業基盤の強化のためM&Aや不採算部門を整理

 40代で2代目として会社を継いだ亀山社長も、間もなく70代に。この数年は、次世代へのバトンタッチを考えて動き出している。その一環として、2022年に給排水管の清掃事業を手掛ける大阪府摂津市の会社「環研」の買収を行った。

 「次の世代を見据え、事業基盤の強化のためにM&Aを行いたいとずっと思っていました。新規事業を軌道に乗せるには、人や事業を一から育てていかなければなりませんが、M&Aをすればその時間を買うことができます。そこで、10社ほどの情報提供をいただいて検討し、その中から環研のM&Aを決断しました。同社は安定的に収益を上げており、資金面で余裕がありました。そして、今後も着実に成長していく将来像が見えたのが決め手になりました」

 さらに、このM&Aを契機に、不採算部門の整理に着手。赤字だった神戸支店を閉鎖し、キャッシュフローを改善した。亀山社長は、「一気に筋肉質の会社に生まれ変わることができた」と胸を張る。

 「この環研事業(給排水設備)の業界では、営業利益率は5%程度が多い。しかし環研は営業利益率14~16%もあり、平均を大きく上回っています。将来、環研の事業をこのまま育てていくのか、売却して無形財産への投資に回すのか、多様な選択肢がありますが、良い形でシナジーを生み出していけたらと考えています」

生成AIやロボットにより業界全体が大変革期へ

 亀山社長は、同社の将来、そしてビルメンテナンス業界の将来を見通す上で、生成AIやロボットが持つ可能性に大きな期待を寄せている。

 「われわれの業界は、生成AIを活用しやすいんです。例えば設備管理において、日々のデータ収集と分析が重要ですが、これは生成AIが得意とする分野であり、大手企業はすでに活用を始めています。また、清掃ロボットや警備ロボットの技術も実用段階に達しています。今後、量産化が進み、コストの問題が解決されれば、一気に普及が進むでしょう。私が委員を務める大阪ビルメンテナンス協会では、ロボット活用の委員会が立ち上がり、2025年大阪・関西万博の多くの会場で清掃ロボットや警備ロボットが試験的に導入されました」

 亀山社長は、「AIやロボットを使わないと淘汰されていく時代になる」「業界が再編される過渡期」と言い、中小企業も今から準備を進めておく必要があると訴える。

 その一方で、「私自身も毎日、生成AIを使って仕事をしています」といきいきと話し、「ウィンドウズ95やインターネットの登場に匹敵する大きな変革期。非常に刺激的で興奮しますね」と目を輝かせる。

 「ビルメンテナンス業界は、働き手の高齢化が顕著です。それゆえAIやロボットの導入、外国人労働者の受け入れなどが進んでいくでしょう。若い世代に向けて、業界の将来性や魅力を発信していくことも重要ですが、個人的には、この業界は高齢の方たちが働き続けていく場として、社会の大きな役割を担っていると感じています。同世代には『もうちょっと一緒に頑張りましょう』と伝えたいですね」

設立1969年4月
資本金3,000万円
売上高5億7,000万円
グループ売上 7億1,000万円
本社大阪市中央区
従業員数47人
事業内容清掃、設備保守・管理や警備といったビルメンテナンス業
https://www.nikken-kanri.com