「昨日と同じではいけない。あらゆる社会課題に対し挑戦し続けたい」と並々ならぬ熱意を示す池田氏。最前線で社会の安心・安全を守り抜く企業として、核となる「人」への投資を惜しまない。創業60周年を迎えた東洋テックの経営計画と企業姿勢に迫る。(雑誌『経済界』2026年3月号より)
池田博之 東洋テックのプロフィール
いけだ・ひろゆき
警備業を核にビルメンテナンス、不動産など多角的なビジネスを展開し、創業60周年を迎えた東洋テック。同社の歴史に新たな一章を刻んだのが、大盛況のうちに閉幕した「大阪・関西万博」だ。セコム、シンテイ警備とともに設立した「警備共同企業体」(JV)の代表幹事会社として、会期184日間で延べ30万人もの警備員を総動員。約2900万人が来場した巨大イベントを「無事故・配置欠員ゼロ」で完遂。業界史に刻まれる金字塔を打ち立てた。
「このようなナショナルプロジェクトで、初めて代表幹事会社を務め、成功を収めることができました。これはマニュアルを超え、警備員一人一人が最善の判断と行動を取った結果です。一つの目標に向かって一致団結すれば、これだけの力が発揮できると証明できました。これこそ最大の資産です」
この万博での経験が、同社の経営戦略に深く反映されている。池田氏が掲げるのは「人的資本経営」の実践だ。第13次中期経営計画の成長戦略の一つとして「ウェル・ビーイング経営の実践」を掲げ、お客さまの「かゆいところまで手が届くホスピタリティ」を持つ人材育成に注力する。自社教育機関「TECアカデミー」では、新入社員研修から次世代経営者育成研修に至るまで池田氏自ら登壇するなど、従業員教育に強い意思を見せる。
さらに、警備、ビルメンテナンスに次ぐ第三の柱として、人の生活に密着した新成長領域「ライフエンハンス事業」への進出も狙い、「ラストワンマイル」の強みを生かした「総合生活安全企業」への進化を目指す。
お客さまへ「安心・快適」を提供するだけでなく、従業員のウェル・ビーイング推進にも力を入れる。従業員のアイデアから導入された社内SNS「My TEC」を池田氏が率先して活用するなど、エンゲージメント向上にも積極的だ。
「ただ稼ぐだけでなく、人に寄り添って信頼され、課題解決を行う。そのためにシステムの効率化も図りますが、最後には人の力が必要」
社会情勢は変化し、働き方の多様化・柔軟化が求められる今、東洋テックの「人を大事にする姿勢」は、企業に不可欠な資質となるだろう。
| 設立 | 1966年1月 |
|---|---|
| 資本金 | 46億1,800万円 |
| 売上高 | 349億円 |
| 本社 | 大阪市浪速区 |
| 従業員数 | 2,131人 |
| 事業内容 | 警備業、ビルメンテナンス業、不動産業 https://www.toyo-tec.co.jp/ |