昨年、北海道銀行が発行した優先株式の全額償還をグループの総力で実現。地域のお客さまへの感謝の思いを胸に、ほくほくフィナンシャルグループそして北海道銀行は、持続可能な社会の実現に向け新たなフェーズへ突入した。その状況について、北海道銀行の兼間祐二頭取に話を聞いた。(雑誌『経済界』2026年4月号より)

兼間祐二 北海道銀行のプロフィール

北海道銀行 兼間祐二 頭取
北海道銀行 頭取 兼間祐二
かねま・ゆうじ──1964年北海道生まれ。87年慶應義塾大学経済学部卒業。同年北海道銀行入行。経営企画部長などを経て、2021年6月にほくほくフィナンシャルグループ副社長兼北海道銀行頭取に就任。

優先株全額償還と新中計「NEXT STAGE」

 昨年の北海道経済を振り返りますと、半導体関連、データセンターをはじめとする設備投資が高水準で推移したほか、個人消費にも賃上げ効果などから底堅さが見え、道内景気には緩やかな持ち直しの動きがみられました。

 こうした経済環境下、当行と北陸銀行の持ち株会社「ほくほくフィナンシャルグループ(以下、FG)」は、昨年4月1日付で優先株式の残額214億円を全額償還いたしました。この株式は、当行が深刻な経営危機に直面した1999年7月、お取引先の皆さまにお引き受けいただいた約537億円の株式のことです。北陸銀行との経営統合後にFGが引き継ぎ、2019年10月より発行済総額の1割ずつを毎年償還しておりましたが、グループ経営の強化による成果として4年前倒しで早期償還を実現しました。長らくご支援いただいたお取引先と株主の皆さまには感謝の言葉しか見つかりません。

 同時期、FGの第6次中期経営計画「NEXT STAGE」を発表しました。「人口減」「金利ある世界」など経済・社会環境も大きな転換期を迎える中、当社グループの事業環境も新たなフェーズへ突入していくという意味合いが「NEXT STAGE」という名称に込められています。

国内屈指のポテンシャルを有するマーケットと位置付け

 新中計では、北海道を国内屈指のポテンシャルを有するマーケットと位置付けました。25年度以降の10年間で次世代半導体や洋上風力、データセンターなど、道内におけるGX関連投資額は約27兆円に達すると見込んでいます。

 広域地域金融グループとしてのネットワークと総合的な金融サービス機能を生かしつつ、産学官金で密接に連携・協業し、半導体やGX関連産業のサプライチェーン、投資を呼び込む基盤づくりに向けて責務を果たしてまいります。再生可能エネルギーの地産地消モデルなど、地域の特長を生かすという観点を大切にし、道内各地へ新産業の創出効果を広げる努力もしていきます。

 一方、持続可能な社会を実現するためには、お取引先企業の「持続可能性を軸に経営を変革する取り組み(SX)」や、「環境負荷の低減を目指す経営改革(GX)」をご支援することも地域金融機関の重要な使命です。

 先般、日本格付研究所主催のJCRアワードにて、25年「地方金融機関サステナブルファイナンス賞」に当行と北陸銀行の両行が受賞しました。第三者評価を取得したフレームワークに基づくサステナブルファイナンスとして、中堅から中小企業まで幅広いお客さまにご利用いただける『ほくほくサステナブルファイナンス(サステナビリティ・リンク・ローン型)』の商品性などが「持続可能な社会への移行に貢献した」という評価をいただきました。今後も、お取引先の課題解決につながって評価いただけるよう、SX・GXソリューション提案力を一層強化してまいります。

金融サービスの持続可能性を強く意識した展開へ

 全国を上回るテンポで人口減が進み、かつ、広大な面積を有する北海道では、金融サービスにおける持続可能性の確保が、地域金融機関として大きな課題となります。

 そのための方策の一つが、WEBサービスの充実です。当行では、店頭へご来店いただく必要があった「キャッシュカードや通帳の紛失・発見・再発行などのお手続き」を、銀行アプリで簡単にできるようにしました。

 WEBサービスやATMの機能充実化が進んでいる中、お客さまのニーズ変化に応じた店舗形態の在り方も検討を進めています。昨年2月からは、旭川市内の大町支店を大型ショッピングモール内へ移転させて、資産運用やアプリに関する相談業務などを、初めて土日営業で行う店舗として運営しています。

 一方、金融インフラを連携・協業のうえで守るという考え方も、欠かせないと認識しています。

 地場大手コンビニエンスストア「セイコーマート」の道内店舗には、当行ATMである「道民のATM」を609台設置(26年1月末現在)。既存ATMと合算すれば1260台を超え、道内金融機関で最大規模となりました。当行ATMは24の金融機関と他行利用手数料の相互無料提携を実施しており、金融インフラを守る目的でコンビニや同業種と連携・協業した新たな北海道モデルと言えます。

 今後も、とりわけ非競争分野での連携拡大について、道内金融機関の皆さまと積極的に議論を交わしながら検討を進めていく考えです。

鍵を握るのは、「価値創造の原動力となる人づくり」

 地域・取引先をつなぎ価値創造の原動力となるのは「ヒト」です。その前提として、働きがい・やりがいを実感できる環境づくりが大切となります。若手・女性・シニアも含めた全職員層が活躍することで、FG一体での取組みを一層加速させられるよう「全員活躍アクションプラン」を制定し、ダイバーシティの推進に向けた取り組みを強化しています。

 また、自律的なキャリア形成に向けて自ら挑戦できる機会の提供や、職員の挑戦をサポートするため「1on1ミーティング」や「キャリアアドバイザー」などのサポート体制を拡充してまいりました。そして昨年10月には、職員持株会の加入者を対象に10万円相当の譲渡制限付株式(RS)の付与を行いました。これは企業業績の向上を通じて株式価値の還元がされることで、グループ職員の勤労意欲などの向上につながっていくことを期待したものです。

 「地域を超えて、輝く未来を創る。~あなたとこのまちの嬉しいが、私たちの一番。~」

 FGの役職員全員が参加して、グループや自社のことを語り合い、何度も議論して未来に向けて大切にしたい言葉を紡いだ「パーパスとクレド(信条)」です。全員が同じベクトルで、北海道地域の未来に貢献していくための組織づくりに向けて、私自身が先頭に立って邁進していく所存です。