飲料事業を全道に展開する北海道コカ・コーラボトリングは長年、地域の課題解決に貢献する活動に取り組んできた。今後は活動をビジネスに発展させ、より地域や顧客とのつながりを強化し、「どさんこ企業」として存在感を示していくことを目指す。(雑誌『経済界』2026年4月号より)
酒寄正太 北海道コカ・コーラボトリングのプロフィール
さかより・しょうた
自動販売機網を活用し防災や寄付の輪を広げる
2025年の北海道は、真夏日日数の記録を更新するほどの猛暑も影響して、飲料の需要は好調であったが、物価高による原材料・人件費のコスト上昇が業界各社の利益を圧迫した。
こうした中、北海道コカ・コーラボトリングは、効率的な生産・供給体制に加え、「綾鷹 番茶」などの新たな北海道限定商品の展開もあり、売上高・利益率の目標を達成した。
「綾鷹 番茶のパッケージにも掲載しているように、番茶は北海道民に親しまれてきたお茶です。高齢の方々の需要を見込んでいましたが、若い世代にも受け入れられました。新たな主力製品となることを期待しています」と酒寄正太社長は力を込める。
同社は「北の大地とともに」をスローガンに掲げ、地域と生活者の課題解決に向けた活動を続けてきた。近年は、道内で約4万台を展開する自動販売機(以下、自販機)網を生かした取り組みに力を入れている。
特に注力するのが、災害時の対応だ。同社は北海道内にある179市町村の全てと防災協定を締結し、災害時に商品のフリーベンド(無償提供)を行う災害対応型自販機の設置を進めてきた。しかし、使い方が浸透しておらず、いざという時に活用されていないケースが各地で発生していた。
「そこで24年から自治体への啓発や、災害対応型自販機の設置場所のWebマップ公開などに取り組みました。結果、25年の道内での災害発生時には円滑に活用していただくことができました」と酒寄社長。
今後は自販機だけでなく、自治体の備蓄飲料の入れ替えなどの管理を行うことで、支援体制を強化できないか検討している。
さらに売り上げの一部を寄付する、寄付型自販機の展開も活発に行っている。子育て支援、医療福祉、教育、環境、スポーツなど、さまざまなテーマの自販機を設置し、行政や、地域に根ざした団体の活動の支援につなげている。
「寄付型自販機を設置したり、それが報道に取り上げられたりすることが、地域の方に課題を意識してもらう機会にもなります。寄付型自販機の割合は現在全自販機の約5%ですが、社員の発案のもと、2030年までに倍増させる計画を進めています」と酒寄社長は話す。
サステナビリティへの意識を広く一般に浸透させていく
同社が長年、地域活動のテーマに掲げてきたのが、サステナビリティだ。特に飲料の原料となる水について、水源域の環境保全に社内外で取り組んできた。
北海道との「環境保全に関するパートナーシップ協定」の下、10年から始めた「北海道e−水プロジェクト」は25年に活動16年目を迎えた。これは札幌工場の地下約300メートルから採水する「い・ろ・は・す北海道の天然水」の売り上げの一部を(公財)北海道環境財団に寄付し、道内各地の水辺の環境保全に取り組む団体を支援するというもので、累計の寄付額は約1・8億円に達した。
また、25年からは、北海道e-水プロジェクトをさらに推進するため、社内に専任担当者を配置し、「e-水活動推進チーム」を発足させている。
「このチームは、当社の事業活動の存続に不可欠な水源である『白旗山』を守る活動を主導します。活動団体として生活者への環境教育を行い、環境問題に関心を持つパートナーと協働することで、一人一人の行動変容を促し、環境保全活動に貢献していきます」(酒寄社長)
グループの持つ資源を活用し課題解決をビジネスへ展開
「北海道ほど魅力的で、これからの発展が見込めるエリアはないと思います」と語る酒寄社長。その一方で、課題先進地と称される現状にも目を向けている。高齢化や人手不足などの影響を受け、さまざまな課題を抱える飲料事業の顧客に対し、北海道コカ・コーラグループのアセットを生かして解決策を提案することに、25年は力を入れてきた。
「われわれはグループ会社も含めると、飲料製造や物流、自動販売機網維持に関わる機能のほか、人材アウトソーシングサービスやコールセンター業務代行、給与計算等のバックオフィス業務代行など、多岐にわたる機能を持っています。自販機メンテナンスの技術を生かし、照明のLED更新や電気設備メンテナンスなどの業務を請け負うことも可能です」と酒寄社長。この強みを生かし、グループビジネスとして発展させていくべく、営業情報プラットフォームを自社開発し、各地の社員が得た課題についての情報や、解決に向けた取り組みなど、事例共有がスムーズに行えるようにした。
「地域の方々にとって、身近な相談相手と思っていただける存在がわれわれの目指すところです。しかし、コカ・コーラが世界的なブランドであるがゆえに、われわれが、『北海道で生まれた、北海道の会社』だということが、地域の方々に認識されにくい面もあるのだと感じています。長年の多様な地域活動の実績を『どさんこ企業である』というメッセージとともに発信していくことが、今こそ必要だと思います」と酒寄社長は目標を語る。
会社概要
| 設立 | 1963年1月 |
|---|---|
| 資本金 | 29億3,515万4,000円 |
| 売上高 | 568億6,000万円(2024年度) |
| 本社 | 北海道札幌市清田区 |
| 従業員数 | 237人(グループ1,168人) |
| 事業内容 | 北海道を主な販売地域とした飲料の製造および販売 https://www.hokkaido.ccbc.co.jp/ |