アディダスが手掛けるサッカー日本代表の新ユニフォーム「HORIZON(ホライゾン/水平線)」は、「新しい景色」を目指す日本の「水平線」をコンセプトに採用。機能面も軽量化やフィット感をさらに追求する。この新モデルについて開発担当の金子勝太氏とプロモーション担当の髙橋慶多氏が想いを語る。(雑誌『経済界』2026年4月号より)
「新しい景色」を見るためにデザインしたユニフォーム
── 今回のユニフォームのコンセプトは「HORIZON(ホライゾン)」と発表されています。
金子 2022年のカタール・ワールドカップでベスト16で敗れた後、メディアや監督、選手たちが語っていた「新しい景色」という言葉がきっかけでした。その景色を見るためのユニフォームを作りたいと。また、ホームユニフォームにはその国のDNAを取り込むというグローバル戦略があり、島国である日本の「海と空」、そして必ず存在する「水平線」をテーマとして決定しました。
── どのようなプロセスで実際のデザインが決まったのでしょうか。
金子 今回はドイツ本社のデザイナーとともに制作しました。複数のデザイン案がありましたが、グラフィック表現やユニフォームとしての見え方などを細かく確認しながら、最終的なデザインが決定しました。
── GKユニフォームは、フィールドプレーヤーのものとデザインが大きく異なります。
金子 今回、アディダスとして初めて、GKユニフォームをゼロから制作し、コンセプトは「阿修羅」としました。「水平線」をテーマにチームが挑んでいく旅や航海において、困難な時に守り、道筋を照らしてくれる「守護神」の存在が必要だと考え、カラーは太陽のような「赤」とし、守護神という意味合いから、阿修羅像にインスピレーションを受けてこのグラフィックを採用しました。
── ユニフォームの機能性について、特に重視されたのは?
金子 軽量性、動きやすさ、吸水速乾は定番ですが、常に重視しています。加えて今回は3Dエンジニアリングファブリックという技術を採用しました。3Dボディマッピングにより男性と女性、そしてサイズによって編み方を変え体の曲線に合わせたフィッティングを実現しました。
── 開発担当として、このユニフォームへの想いを聞かせてください。
金子 馴染み深い「サムライブルー」のユニフォームをみんなで着て、選手たちが水平線の向こう側へチャレンジしていく姿を応援したいです。喜びも苦しみも分かち合い、優勝という最高の景色を目指したいですし、それが皆さんの記憶に深く残ることを願っています。
日本が決勝で勝つことを本気で信じている
── 髙橋さんはその想いを受け止め、このユニフォームをどのように広めていきたいと考えていますか。
髙橋 金子が開発に込めた想いやプロセスを聞き、私たちコミュニケーションチームはこのユニフォームが唯一無二の存在であることに大きな責任を感じ、単なる商品発表ではなく、いかにエンターテインメントとして世に出せるかを追求しました。
── 渋谷に登場した「ビッグタケ」も、その具体化の1つでしょうか。
髙橋 はい、いくつか行ったアクティベーションの中でも、「ビッグタケ」は、まさにエンターテインメントの象徴にすることができたと考えています。渋谷の109横の空き地が、ユニフォーム発表のタイミングで空いていたこと、久保建英選手の3Dスキャン、そして映画『国宝』の特殊メイクにも携わったAmazing Jiroさんの協力を得られたことなど、さまざまな巡り合わせで実現できました。
── 久保選手の反応はいかがでしたか。
髙橋 帰国した久保選手に実物を見ていただいたのですが、あまりにも似すぎていることに非常に驚いていたのが印象的でしたね。
── Adoさんとのコラボレーションで「ユニフォームソング」を制作することも発表しました。
髙橋 サッカー日本代表を応援する歌はたくさんありますが、アディダスならではのカタチでできることは何かを考えました。その中で、唯一無二のユニフォームをより多くの人に知ってもらうためのアプローチとして、ユニフォームのための楽曲制作のアイデアが芽生えました。
── ユニフォーム発表後の反響についてはいかがでしょうか。
金子 販売数は期待どおりで、販売店の方からも良い評価を聞いています。私個人としては、着用する方々が、このユニフォームにもまた違った特別な想いを持ってくれたら、と思っています。
髙橋 プロモーションの観点では、「ビッグタケ」が約10日間の展示で、関連ニュースのポテンシャルリーチ数が20億回まで伸びました。また、ユニフォーム発表から10日あまりで、関連ニュースのポテンシャルリーチ数は140億回に達し、カタール・ワールドカップ時のユニフォーム露出の倍以上となっています。
── このユニフォームを着てワールドカップを戦う日本代表にはどのような期待を持っていますか。
金子 優勝しかありません。チームが優勝して全員で喜んでいる姿を心から見たいです。そのためにコンセプトを練り、ユニフォームを頑張って作ってきたので、そこを一番に期待したいです。
髙橋 優勝を見たいという願望ではなく、日本が決勝に進出し、そこで勝つことを本気で信じています。