銀座の中心地の「GINZA SIX」のオフィスフロアに本社を移転し、注目を集めている日本土地建物。中核事業に位置付けるマンションリノベーション事業に加えて近年は保有マンションを活用したインバウンド向け民泊事業に進出するなど業容を拡大している。(雑誌『経済界』2026年5月号より)

神山重子 日本土地建物のプロフィール

神山重子 日本土地建物
日本土地建物代表取締役 神山重子
かみやま しげこ

民泊事業に進出 賃貸よりも高い収益性

幅広い分野の不動産事業を手掛ける日本土地建物は、創業者である神山社長が2003年に設立した。主力のマンションリノベーション事業では中古物件を購入した後、リノベーションを施してバリューアップさせてから販売して利益を得ている。長期保有物件も含めて1都3県の各エリアで常時数十棟を取り扱っており、不動産資産は銀座などの高額物件を含めて100億円近くにも及ぶ。

物件を売却した後も子会社の「リセールバリュー」を通じて管理を任せられるのでオーナーとは強い信頼感で結ばれる。強みは独自の不動産物件の情報収集力だ。ホームページには売買・保有・賃貸物件に加えて未公開物件も掲載されている。

「物件の取得は先方オーナーと相対取引になるので、常に営業マンが足を運んであらゆる角度から内々に情報を集めています。現在の不動産市場価格は高騰しているため、入札になると高値がついてしまうので手が出せません。私も不動産仲介会社とは懇意にしており、業界関係者が集まるゴルフコンペに出席するなどさまざまな場所で最新の情報を得られる機会を設けています。優良な物件を仕入れるコツはやはり人間同士の信頼関係に尽きると思います」

顧客は個人から法人まで幅広い。高額物件だけあって個人では銀行でローンを組まなくても物件を購入できるキャッシュリッチな富裕層が中心だ。さらに近年は外国人の物件購入者も増えている。

「都心エリアは利回りもそれほど高くはないので銀行ローンは組みにくく、一括で購入される方がほとんどです。海外の方の割合も3割ほどを占めています。法人需要も底堅く、こちらは本業の不振を不動産の安定収入で補おうとするなどの目的で購入されます。金利の上昇とともに不動産の市場価格は下がると見られていましたが、なかなか下がる気配はありません。物件が取得しやすくなると期待していましたが、今後下がるとしても一部のエリアに限られるでしょう」

また国内に限らず、海外にも物件を保有する。コロナ禍で一時的に地価が下落したチャンスを見逃さず、ハワイにあるザ・リッツ・カールトン・レジデンス・ワイキキビーチやオーストラリアのカジノ付きレジデンスの1室を取得した。

「円安効果もあって海外物件の収益性はとても高く、ドル建て資産は積み上がっています。将来的にはタイやマレーシアなどアジア諸国に加えてドバイなどもターゲットに見据えています。東南アジアは物価も安いですし、日本人の富裕層が多く移住しているので、現地へ視察にも訪れるなど研究を進めています。円安は今後も続くと見られますので、より多くの海外物件を長期保有しておくことが重要です」

さらに昨年は事業拡大の一環として、新宿に長期保有しているレジデンスの一部をインバウンド旅行者向けに貸し出す民泊事業に乗り出した。高収益・高稼働を続けているため、1棟約30戸のうち、民泊用は6戸にまで増やした。

「家賃相場も上がっているので空室は徐々に民泊用に貸し出していますが、普通に賃貸で貸し出すよりも収益性は3倍から4倍も高くなります。しっかりと管理しているので居住者からの苦情もありません。民泊は住民地域などエリアによって規制もあるので大規模な拡大はできませんが、条件が整えば増やしていきたいと考えています」

本社移転の効果で採用にも好影響

24年には日比谷周辺の大規模再開発に伴う入居ビルの解体を受けて「GINZA SIX」のオフィスフロアへ本社を移転。延床面積は従前よりも約1・6倍も広くなった。社員のモチベーションは高まり、社外からも高い評価を得ている。

「従業員を見ていると、以前よりも通勤が楽しそうになりました(笑)。もちろん採用への影響も大きいです。何より銀座の中心にある、誰もが知っているビルなのでとても説明しやすいです」

今春は既に3人をキャリア採用し、4月には新卒社員6人が入社する予定だ。年間売上高は50億円に迫る一方で従業員数はわずか30人弱と少数精鋭を誇る。新卒の営業担当でも幅広い業務を任せてもらえる裁量の大きさや、不動産業界では珍しい土日休みが志望動機に挙げられている。

「土日休みについては、家族や個人の時間も大切にしてほしいので、繁忙期は交代制などで対応しています。新卒の営業担当にはもちろん先輩が付きますが、基本的には仕入れから売却まで全部を一人で担います。大手不動産販売会社は分業制が多いですが、最初から最後まで責任を持って自分で担当した物件を扱えるので成長スピードも速くなります。営業担当はキャリア採用よりも新卒を重視しています。業界の色に染まっておらず、一生懸命がむしゃらに働いてくれることを期待しています」

30年を目標とする経営計画の「ビジョン2030」では、現在の2倍以上の売上高100億円を目指す日本土地建物。神山社長が見据える「ありたい姿」への挑戦はこれからも続く。

昨年6月に開催された新年度の経営計画発表会。全社一丸となって目標達成を目指す
昨年6月に開催された新年度の経営計画発表会。全社一丸となって目標達成を目指す
設立2003年8月
資本金1億円
売上高37億円
本社東京都中央区
従業員数30人
事業内容不動産の売買・賃貸・仲介・管理等
https://www.j-tochi.co.jp/