(雑誌『経済界』2026年6月号より)

レーザー型

 トカマク型やヘリカル型は磁場によってプラズマを閉じ込める。核融合反応を起こす。ところがレーザー型は全く違う方式で、別名慣性閉じ込め方式とも言われている。

 そのメカニズムを、EX-FusionのHPを元に説明する。

 まず、炉心に向かって毎秒約100メートルの速さまで加速された燃料ターゲット(重水素と三重水素)を投射。燃料が炉心に到達すると同時に四方八方からレーザーを照射することで燃料ターゲットを圧縮し、さらに別のレーザーで燃料を点火し核融合反応を引き起こす。この反応により生成された中性子のエネルギーが、炉心を囲むブランケットに吸収され、熱交換器により水を温めてタービンを回し、電気エネルギーに変換される。ターゲットの投射から燃料の点火までのサイクルを1秒間に約10回の頻度で安定して繰り返すことができれば、発電所として運用が可能となる。

 レーザーが発明されたのは1960年。それから間もない60年代には、すでにレーザー核融合が提唱された。燃料を高密度に圧縮するには高出力によるレーザー装置が必要なため、各国で巨大な施設の建設が相次いだ。日本で先頭を走ったのが大阪大学で、80年代には当時世界最高密度を記録した。

 大きな転機となったのは、2022年。アメリカのローレンス・リバモア国立研究所が、エネルギー2・05メガジュールを投じ3・15メガジュールのエネルギーを取り出すことに成功した。核融合反応でQ値が1を超えたのはこれが初めてのことだった。そこからさらに研究は進み、現在、Q値は4を超えている。トカマク型のITERが目指しているのが10以上だから、その半分近くまで迫ったことになる。

 アメリカの方式はレーザーを金属に当て、生じたX線を燃料に当てるというものだが、日本ではレーザーを直接燃料に当てる直接照射方式の研究が進んでおり、よりエネルギー効率が高いといわれている。

 レーザー型が優れているところはいくつもある。

 まずは装置の大きさ。トカマク型などに比べ真空容器がはるかに小さいため小型化できる。当然建設費も安く済む。また前稿の松尾社長のインタビューにもあるように、炉とレーザーが分離しているためメンテナンスが容易だ。さらにはレーザーの照射回数を調整することで、電力需要の高い時に発電量を増やし、低ければ減らすという柔軟性がある。

 ただし実用化するには1秒間に10回の連続照射が必要だ。EXフュージョンではすでにクリアしているが、それを繰り返し続けなければ発電所としては機能しない。

 それでもピーク電源としても活用できるレーザー型の魅力は大きい。しかもすでにQ値が1を超えているというのは、他の方式に対する圧倒的なアドバンテージだ。実用化という意味では、もっとも近いところに位置しているのかもしれない。

レーザー照射で燃料を圧縮し、点火する
レーザー照射で燃料を圧縮し、点火する