(雑誌『経済界』2026年10月号より)
藤田 晋 サイバーエージェントのプロフィール
サイバーエージェント会長 藤田 晋
ふじた すすむ
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サイバーエージェント(以下、CA)の人事制度の土台にあるのは、若手に早く機会を与え、挑戦の中で育てる考え方だ。創業者の藤田晋氏が掲げたミッションステートメントには「年功序列は禁止」とある。ただし、単に成果を出した人だけが残る実力主義ではない。若手を抜擢し、失敗も経験させながら、長く活躍できる人材を増やす仕組みがある。
代表例が「あした会議」だ。常務以上の執行役員を中心にチームを組み、新規事業や経営課題の解決策を提案する。単なるアイデア募集でなく、これ自体が役員決議の場であり、同社の持続成長を支える仕組みとなっている。
人材配置でも、本人の意思と会社の成長を結び付ける。社員の状態やキャリア志向を把握する「GEPPO」、希望部署やグループ会社への異動に挑める「キャリチャレ」、各部署の人材ニーズを見える化する「キャリバー」などを通じ、人材を固定せず、事業の変化に合わせて動かしていく。
近年は、将来を担う若手を会社全体で見つける取り組みも進む。「強化指定社員セレクション会議」では、一部の上司の目利きだけに頼らず、伸びる可能性のある人材を全社で把握し、中長期で経験を設計する。
この考え方は、経営トップの継承にもつながる。2代目社長に就任した山内隆裕氏も、若手に機会を与えるCAの風土に惹かれて入社し、20代で子会社経営を任された一人だった。社長就任にあたっては、16人の候補者が研修を重ね、全社構想を発表した。藤田氏から2代目へバトンは渡されたが、継承はそこで終わらない。山内氏は、3代目、4代目がたどれる仕組みづくりも自らの役割と語る。人事制度は、社員を管理するためだけのものではない。人を見つけ、機会を与え、次の役割を担う人材へ育てる仕組みなのである。