(雑誌『経済界』2026年10月号より)
粟田貴也 トリドールホールディングスのプロフィール
トリドールホールディングス社長兼CEO 粟田貴也
あわた たかや
あわた たかや
「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングス。同社が現在、取り組んでいるのが「ハピカン経営」。
ハピカンとは何か。粟田貴也社長は次のように語っている。
「ハピカンとは働く人のハピネスとお客さまの感動を組み合わせた造語。スタッフの満足度を高めることでお客さまの満足度が高まる」
もともと粟田社長には「お客さまに感動する業態をつくりたい」との思いがある。だからこそ丸亀製麺などでは、店内製麺など手づくりに徹底的にこだわってきた。食事だけではなく接客などのサービスでも感動体験を提供する。
客に感動してもらうには、スタッフがハッピーな状態でなければならない。客が感動すれば店の繁盛につながり、それにスタッフのハピネスを高める投資につながる。この循環が「ハピカン繁盛サイクル」だ。
ハピカン経営を推進するため、昨年には「ハピカンオフィサー制度」を導入した。従来の店長制度に代わるもので、ハピカンオフィサーはスタッフのモチベーションを高め、客に感動体験を提供することに努めなければならない。さらには従来の店長以上に権限を持ち、独自のサービスや施策を打ち出すことができるために、自分のつくりたい店をつくることも可能だ。
オフィサーには4つの階層があり、その入り口が「ハピカンキャプテン」。階段を上っていけば、最後は2千万円の報酬が得られるという。昨年11月、まず5人のキャプテンが任命されたが、粟田社長は「3年間で300人のハピカンキャプテンの誕生を目指す」と言う。
外食業界は人手不足に苦しんでいる。ハピカン経営はスタッフのエンゲージメントを高めるため、離職率低下にもつながる。トリドールHDの挑戦は始まったばかりだ。