(雑誌『経済界』2026年10月号より)
青野慶久 サイボウズのプロフィール
あおの よしひさ
人的資本経営が叫ばれて久しい。人件費や福利厚生費はコストではなく、社員への投資という考え方だ。
言葉にするのは簡単だが、企業価値を高める具体的な戦略がなければ形ばかりが先攻してしまう。またスキルや経験、エンゲージメントなどを定量化することも難しい。結果、掛け声だけで終わってしまう。
そういうことで悩んでいる経営者は、ぜひ「サイボウズの人的資本経営」というサイトを見てほしい。そこにはサイボウズがいかにして人的資本経営を進めているか、簡潔に、かつ分かりやすくまとめられている。
サイボウズの人的資本経営のポリシーは「チームワークあふれる会社を創る」。「自主性の高いメンバーが、チームワークよく、大きな成果を生み出す」ことを目指している。
そのためにチームとメンバーにそれぞれ支援をしつつ、チームの生産性とメンバーの幸福をマッチングするという考えを大切にしている。
これを青野慶久社長は「100人100通りのマッチング」と言う。「チームとして目指すことを実現しつつ、メンバーの個人的な希望や幸福をどう叶えるか。チームのニーズも個人の希望は一律ではないため、一人一人と対話してマッチングを目指しています」(青野社長)。
もともとハードワークな会社だったサイボウズ。しかし離職率が28%まで高まったこともあり、約20年前から働き方を見直し、社員と対話し、なにができるかを考える方向に舵を切った。そのリターンはとても大きかったと青野社長。社員が辞めなくなり、採用コストが下がっただけではない。例えば副業を認めたところ、副業先にサイボウズ製品を勧める。あるいはそこでの人脈がサイボウズのビジネスに生かされる。
「社員一人一人と対話することは、コストではなく投資だ」と青野社長が語るのも当然だ。