大量生産が主流のアルミ押出業界で、超小ロットや難形状にあえて挑む加藤軽金属工業。三代目の加藤大輝社長は、外部技術の社会実装や発電・蓄電にも領域を広げ、2030年の売上高100億円を見据える。誰も引き受けない課題を事業へ変える現在地を追う。(雑誌『経済界』2026年11月号より)
加藤大輝 加藤軽金属工業のプロフィール
かとう・だいき
アルミ押出形材メーカーの加藤軽金属工業。1961年の創業以来、アルミを中核としてきた同社を、三代目の加藤大輝社長は「量を多く作る会社」から「誰も引き受けない困りごとを解決する会社」へ変えようとしている。企業の経営改善や新規事業支援に携わっていた加藤社長は、家業の経営難を知り、2020年に入社。収益構造と組織文化の改革に乗り出した。
最初に目を付けたのが、他社が採算を取りにくい超小ロット市場だ。アルミ押出は、大量に生産するほど効率が上がる産業だ。加藤社長はその常識から距離を取り、数グラム単位の試作や難形状、短納期など、他社では対応しにくい案件へ軸足を移した。
「100キロ、200キロも必要ないお客さまは少なくありません。段取り替えや輸送、現場の作業まで含めて適正な価格をいただけば、小ロットでも事業になります」
実際に、5グラムの試作品を4万円で受注した例もある。製造量ではなく、解決した困りごとに価格を付ける発想だ。社内でも案件ごとの原価と利益を可視化し、営業、設計、製造が採算性を共有。少量でも高い付加価値を生み出せる体制へ転換した。建材比率も約6割から4割へ下げ、価格競争に巻き込まれにくい市場を開拓している。
さらに、異素材接合や放熱塗工、蓄電池、エネルギーなど、社外との協業にも目を向ける。自社の設備や顧客基盤を生かせる技術は事業化を支援し、自社より適した企業があれば、そちらへつなぐ。
「私たちのところでR&Dを行い、技術を製品やサービスへ落とし込み、社会へ届けていきます」
技術、人、顧客の課題を結ぶハブになることが、加藤社長の掲げる「アルミプラスアルファ」の中核だ。アルミの製錬には大量の電力を要するため、付加価値だけでなく、事業を存続させる電力やインフラにも目を向け、発電や蓄電に取り組む。
同社は2030年までに売上高100億円を目指す。数グラムの試作品から、外部技術の社会実装、さらに産業を支える電力まで。目の前の困りごとをたどり、その根にある課題を新たな事業へ変えていく。
会社概要
| 設立 | 1961年4月 |
|---|---|
| 資本金 | 6,050万円 |
| 売上高 | 30億円 |
| 本社 | 愛知県海部郡蟹江町 |
| 従業員数 | 85人 |
| 事業内容 | アルミニウム押出形材の製造・加工、アルミニウム製品の組立・販売 https://katokei.co.jp/ |