東海のソウルフードとして、世代を超えて親しまれてきた「スガキヤ」。その味と体験を守りながら、次の地域の日常へどう届けるか。新業態や朝営業、外部ブランドとの連携を重ねるスガキコシステムズの、可能性を探り続ける現在地を追った。(雑誌『経済界』2026年11月号より)
菅木寿一 スガキコシステムズのプロフィール
すがき・じゅいち
2026年6月、創業80周年を迎えたスガキコシステムズの社長に菅木寿一氏が就任した。新体制で最初に掲げた大きな目標が、約20年ぶりの関東再進出だ。
「会社としては3回目でも、今のチームにとっては初めてのトライ。世代交代の時期に、やり応えのあるタフな目標として、もう一度関東で勝負しようと思いました」
前回は関東向けにエビフライとみそかつ。メニューを「名古屋めし」へ寄せたが、顧客から届いたのは「アレンジしないで」との声。今回は商品や味、サービスを変えず、現地採用や新しい厨房設備を活用し、スープの品質を安定させる仕組みも検証中だ。
スガキヤブランドには余白がある。スガキヤを選ぶ場面を増やす実験のため、新業態を一からつくる方法と、既存店に何かを足す方法を試行した。大須の食べ歩き需要を見込み、ラーメンを外してポテトやチキンなどを扱った「スーちゃんのSweet Cafe」は、「スーちゃんがいるのにラーメンがない」と違和感を持たれた。たこ焼きメニューは支持を得たものの、小型店ではオペレーションが成立しにくい。一方、名駅エスカ店では、顧客の声を受けて始めた朝営業が定着。新幹線に乗る前の「朝ラーメン」という需要を捉えた。
外部との協業でも果敢に検証を重ねる。「スーちゃんのSweet Cafe」の跡地には、資本関係にあるドムドムハンバーガーを出店。以前から同社の店舗やグッズ展開を参考にしていたが、開店後の行列やグッズの売れ行きは好調で、自社にない提案力やキャラクター活用を学んでいる。
「全国展開する企業からは、学ぶことが多いです。ただ、私たちが掲げる『Destination Company』は、単に全国区になるという意味ではありません」
目指すのは、その町の日常の選択肢に入り、「わが町にあってうれしい」と思われる店だ。試すこと自体が目的ではない。採算や運営に無理があれば止め、知見を次へ回す。ほぼ直営で展開してきたが、品質とサービスを担保できるなら、FCも選択肢になりうると見る。
「スガキヤのある風景」を新たな町に根づかせるため、届け方は何度でもつくり直していく。
会社概要
| 設立 | 1958年5月 |
|---|---|
| 資本金 | 5,000万円 |
| 売上高 | 125億6,100万円(2026年3月期) |
| 本社 | 愛知県名古屋市 |
| 従業員数 | 3,579人(2026年3月末) |
| 事業内容 | ファストフードサービスチェーン https://www.sugakico.co.jp/ |