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自分たちの信念を貫き通し世界中を魅了する組織になる―センチュリオン

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不動産投資の分野において、確実な目利き力と積み重ねた実績で業容を拡大し続けるセンチュリオン。高い倫理観に裏打ちされた独自の営業スタイルは古い業界の常識を打ち破り、多くの顧客を獲得している。矢継ぎ早に新規事業に進出する同社の西川将史社長にその戦略を聞いた。

西川将史氏

センチュリオン 社長 西川将史(にしかわ・まさし)

 

クリーンな営業で顧客の信頼を獲得

 このところ好調に推移してきた不動産市場だが、2018年は不動産投資に関するトラブルが相次いで表面化した1年となった。一部の企業や金融機関の強引ともいえる営業姿勢が、結果として市場全体への不信感につながりかねないという状況になっている。

 そうした中、独自のネットワークによる圧倒的な仕入れ力とファイナンスアレンジ力で、一棟収益マンション・ビルの売買を手掛けるセンチュリオンの西川将史社長は、自身の不動産ベンチャーにおける投資用不動産の営業経験を踏まえた上で、他社とは一線を画したクリーンな営業姿勢を打ち出している。

 「偽善者と言われるかもしれませんが、他人を蹴落としてまで事業を拡大しようとは考えていません。数字だけを追い求めるのではなく、顧客が本当に利益を得ることができる物件のみ厳選して紹介しています」

 同社ではこれまで、300棟以上の一棟マンション・ビル取引実績を有するが、既に数多くのリピーターを抱えているというのも高い顧客満足度の表れといえそうだ。

 西川氏は08年、現在副社長を務める世戸誠人氏と共に創業。顧客ゼロからのスタートであったが、持ち前の粘り強さで売り上げを徐々に伸ばしてきた。

 人材に恵まれたのも大きな要因だという。今のところ中途採用者が中心となるが、9割は不動産業界の未経験者だ。専門知識の教育や研修には手間と時間がかかるものの、業界の古い慣習に染まっていないことを最優先にしている。

 そうして採用した若者にはまず、西川社長自らが人としてのあり方や同社のビジョンをしっかりと伝えた上で、実務に当たってはユニークなチーム制を敷いている。

 「この業界では、個々の営業マンが自分の数字にこだわりながらそれぞれの売り上げを競い合うのが一般的ですが、それでは各営業マンが情報を抱え込んでしまい効率的とは言えません。チーム制によって情報とノウハウを共有することで、機会損失を防ぐことができます。また、現在の若者は単にお金を稼ぐというよりは『自分のためより人のために尽くしたい』といった意識が高く、こうして仲間と共に何かを達成する、という仕組みがモチベーションの向上につながっています」

 これらの施策が奏功して従業員の満足度は高く、現在の離職率は5%以下と業界では突出した定着率となっている。

事業の多角化でリスクに備える

 センチュリオンでは、昨今大きな社会問題となっている事業承継や相続に関しても万全のサポート体制を整えている。大手弁護士法人との連携により、法務サービスや資産運用、節税相談までワンストップで行い、保有不動産の査定や買い取りも合わせて相続時の納税資金確保などにもスピーディーに対応する。

 また、同社の特長として不動産業界の枠にとらわれず幅広い事業を手掛けていることも挙げられる。

 その一つがAIを活用したウェブ上での音声認識・資産運用マッチングサービス「Elephant°C」だ。顧客との会話内容を自動認識し、収益不動産や金融商品、保険商品、税理士や弁護士といった専門家などニーズに合わせてマッチングする。サービスとしては不動産関連となるが、その切り口はITであり、今後はより幅広い分野での活用も視野に入れている。

 今年から本格的にスタートするという「監査のミカタ」も成長力を秘めている。国内で16万社に及ぶ中小の保険代理店を対象に、保険業法や関連法令に基づいた点検業務を外部に委託するもので、全国規模でのサービス展開は他に例がないという。

 こうした積極的な新規事業への進出には大きな理由がある。

 「私自身、慎重な性格で、現在主力とする不動産事業がこの先もずっと安泰だとは考えていません。多くの事業を手掛けるのもリスクヘッジの一環です。もともと個別の事業というより人そのものに興味があり、人と人が尊重し合いながら成長していきたいと考えてきました。どこかのタイミングで選択と集中をすることもあると思いますが、まずは業界にこだわらず成長性が大きな分野にどんどん取り組んでいくつもりです」

 不動産投資サービスを中心としたITコングロマリット的な企業体を構想しながら、尊敬できて好きな人たちとさまざまな事業に挑戦し、楽しく自由に生きていける組織づくりを思い描いている。

 「世界中の人たちを魅了するような会社をつくりたい。たくさん応援していただいたり期待してくれている方々の思いに応えるためには、われわれはこんな小さなところで止まっているわけにはいきません」

 昨年、設立10周年を迎えた同社はさらなる飛躍を目指している。

 「自分が50歳、60歳になった時、一緒にやってきて良かったと心から言ってくれる人が1人でもいれば幸せなことだと思います。それが私の人生の目標の一つです」        

 

会社概要

設立 2008年11月

資本金 1億円

売上高 60億円

所在地 東京都渋谷区

事業内容 不動産売買事業、不動産コンサルティング事業、ファイナンスアレンジ事業、開発事業、賃貸業、AIデータマイニング事業、IT事業

https://www.cent.co.jp/

 

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